打ち合わせの初期段階では「『鈴さんを含めて三人の話ぐらいのつもりで作ったらどうでしょうか?』と言ったとき、そこにいた全員が納得してくださったんです」ということで、「萬平さんは最終的に、ほぼ一文無しになって、需要ゼロ、市場ゼロのインスタントラーメンを作り始めます。
世間は『インスタントラーメンっていうものがあったらいいな』とは誰も期待もしていないのに、萬平さんの中にだけイメージがあってそれを作り始める。スティーブ・ジョブズみたいなものです。
だから、鈴さんはきっと萬平さんのやることについて『自分の理解を超えている』と思い続けるのではないかと。鈴さんという設定を作った以上、もう最後の最後まで、萬平さんに『何なんだ!』って突っ込み続けたほうが絶対に面白いでしょうし、萬平さんと福ちゃんは自らコメディーを演じるわけじゃないけれど、鈴さんが加わることでコミカルになっていく。鈴さんは、そんな大事な役割なんです」というように物語の主軸となる3人の関係性が出来上がっていたという。
さらに、子孫の方から聞いた実話のエピソードとして「仁子さんは三女で、長女のお姉さんがそれはそれは美しく大変おモテになったということ、次女のお姉さんが画家と結婚されて、その家にはなぜかたくさんの鳥がいたこと。
それから、歯医者さんが長女さんに何度もプロポーズに来られて、その方が馬に乗って家の前までいらっしゃったとか。
そのエピソードで生まれたのが、牧善之介(浜野謙太)です。このドラマの中で最も僕が好きなキャラクターです(笑)。
NHKさんのことだから、スタジオに馬を入れるんだろうと思ったら、案の定(笑)…このビルの中に白馬が入ってくるところを見たかったですね。そういった事実を織り交ぜながらではありますが、やはりこのドラマの80%ぐらいはフィクションと言ってもいいでしょう」とSNSでも話題になったキャラクターの裏話を明かす。
また、物語を描くときに意識していることは「登場人物のリアリティーです。人にはそれぞれの正義や信念があり、それぞれに愛情を持ち、愛するものがあり、それゆえに互いにぶつかっていくのだろうと思いますし、それを描きたい」と明かす福田。
さらに、「主人公一人だけが正しくて、残りは全員引き立て役だったら、視聴者も見ていて面白くないですよね。『まんぷく』でも、鈴さんの立場も分かる、でも、福ちゃんの言うこともわかる、萬平さんのことも分かる、あぁ、悩ましい! …そこにドラマが生まれるはずです。
僕の仕事は日常から逸脱した何かを発明することではありません。そのため、人間観察というほどではありませんが、普段の家族での会話や、ワイドショーで今話題になっていることなどをチェックして、視聴者の皆さんと同じ目線でいることを心掛けています」と熱く語る。
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