気まぐれなネコとの撮影は大変だったと思うが、その反面、福士にとっては良かったこともあったそう。
「撮影していても、みんなナナに注目しているから、自分は見られていない感じがするんです(笑)。だから、ヘンなプレッシャーがなく、自分はリラックスして演技することができました。実際、ナナのいい表情を引き出すことに向けて全員が一つになっているところがあって、自分もナナのためにお芝居しようとするし、とても温かな雰囲気に包まれた現場だったと思います」
大切に飼っていたナナの新たな飼い主を探すため、小学校や高校時代の友人に会っていく悟。その悟の思いを福士は自然と理解できたという。
「悟と自分には似ている部分があるなと思いました。特に似ていると思ったのは、人とか動物に対する愛情の形。悟も自分も動物に話し掛けてしまいますし、そのときに甘い声になってしまうんです(笑)。ただ、悟は複雑な過去を持っていて、今回の旅も覚悟を持ってやっていると思うんです。なので、単純に優しい人なだけではないのかなと意識して演じていました」
ネコと人間の深いつながりを描いた本作。その温かな物語に、ペットを飼っているかどうかにかかわらず、多くの人が涙してしまうはず。
「人間とネコは生きものとしては別の種類ですが、そこには平等な愛があるんだなと感じました。ナナを見ていても人間のように感じるときがあるし、悟もナナと友達のように接していて面白いなと思って。そういう愛情がつないでいく輪みたいなものが、この作品にはあるなと感じました。シンプルに楽しく、切なく、温かいという感情が自然に湧き上がる作品になっていると思います」
取材・文=馬場英美
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