――約半年ですぐに続編の公演となります。前回から心構えの変化などはありますか?
鶏冠井:前回はシミュレーションゲームからの舞台化ということで、最初はどういうものになるのか想像ができなかったんですよ。歴史と違う動きをするということで、台本が出来上がるまで本当に何も分からなくて。続編の今回は、前回出来上がった基盤を行くんですが、やっぱり色々歴史と変わっていくから先の読めない部分が多く、「ここでこういう風になるのか!?」と、今すごく驚きながら稽古をしています(取材時、10月中旬)。
谷:前回の明智光秀はキーになる人物でありながら、裏での動きが多かったんですよね。今回も要所要所で出番はありつつも、武田・上杉サイドとの関わりはなさそうだし、そんなに出番は多くはないだろうと思っていたんです。でも、いざ台本を読んでみたら前回以上に「こやつは何なんだ!?」という動きをたくさんしていて。いや、自分の役ですけどびっくりしました。
鶏冠井:明智は前回よりも不気味だよね。暗躍の仕方が。
谷:そう。前回、短銃を隠し持ってましたけど、また新しい武器を持ってるんですよ。この時代にはない新兵器を隠し持っていて、それを使って明智は一体何をするのか。殺陣とかの立ち回りも十分見応えがあるんですが、明智光秀としてはその思惑や駆け引きの会話の部分をより濃く見せていけたらと思います。例えば策士っぽい動きを意識して作ろうかなと思っています。
――今回、織田・徳川軍に対するのは武田・上杉軍で、これは歴史好きにとっては夢のある“もしも”ですよね。
鶏冠井:これ、本当にドリームマッチじゃないですか。
谷:軍神と言われた上杉謙信と風林火山の武田信玄が手を組むというのは、最強タッグですよ。
鶏冠井:もし本当に手を組んでいたら、信長の勝ちはなかったと言われているくらいの武将2人だからね。
――史実では、武田信玄は信長討伐の出陣中、病が悪化して病死してしまいます。それがなかったら、野田城を落とした後も侵攻は止まらなかっただろうと。
谷:そうなんですよね。信玄の死が武田家にとっても、歴史にとっても大きな変わり目になるんですけど、「冬の陣」ではまたそこがすごく面白い展開になってくるんですよ。「マジか!?」っていう流れで。
鶏冠井:僕もそこは「おお!」ってなったところです。
――最終章「本能寺の変」が発表されたこともあり、織田・徳川軍の勝利という結果は分かりつつも…。
鶏冠井:ただでは勝たせてくれないんですよね、平成の記憶を持つこの敵は。
――「春の陣」でも思ったのですが、歴史と全く違う方向に進むのかと思いきや、やっぱり史実の結果に向かっていくのか?という揺らぎが面白いですね。歴史を知っているとその揺らぎに「え!?」となる場面が何度も訪れて。
鶏冠井:その揺らぎを生むのが平成の記憶なんですよね。平成の記憶を持っているが故に、自分を苦しめたり、新しい道を拓いたりしていくわけなんだけど、明智はどうなのよ? 明智は何を考えているのか全然分からないし、平成の記憶を持っていそうなんだけど、信長たちはまだ分かっていなんだよね。
谷:そうなんですよ。見ている側は分かっていても、明智自身は明かしてないんですよね。ただ、今回は明らかに覚醒する瞬間が出てくるので、そこがどうなるのかはお楽しみということで。
――井伊直虎も平成の記憶を持っているんじゃないのかという雰囲気でしたが?
鶏冠井:さあ、どうでしょうね(笑)。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)