今回も注目を集めた田中の歌唱シーン。オープニングパフォーマンスでは戦国乱世が始まる高揚感を主題歌に乗せ、一幕クライマックスではエンディングソング「野望の果て」を披露。悲しみに暮れる家康の慟哭を歌でドラマティックに演出し、お市幼少期でのわらべ歌は素朴に子供らしく。
前者2つはお市でありつつ歌手としての歌唱を、後者はお市としての無垢な感情を乗せているのが印象的だった。ストレートな舞台の中、随所に歌唱シーンが置かれたのは田中の歌が演出の武器になるからこそであろうし、役者の芝居に歌で“情景”という深みを確かに与えていた。
また、今回は舞台劇にしては珍しく、紗幕を使ってのエンドロールで締めくくられた。そこで流れたのは、レコーディング音源による「野望の果て」。ビブラートも、伸びも抑揚も、劇中歌唱は抑えていたことが良く分かる田中本来の歌い上げで、映画を見た後のような余韻を感じさせてもくれた。
最終章ではどんな歌が披露されるのか、シリーズの大きな楽しみになっている。
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