――歌唱は劇中のみだと思っていたので、エンドロールで本気の歌が流れた時は驚きました。
「野望の果て」ですよね。最初はタイトルが未定だったので、ファンの方からのブログコメントで曲名を知って(笑)。あの歌いいなって、歌詞もすごく好きです。朝からのレコーディングだったんですけど、作曲の三善(雅己)さん、演出の久保田(唱)さん、プロデューサーさんたちも勢ぞろいでスタジオに来てくれて。何回も何回も歌って完成させました。
――配信してほしいです。他の曲も。
皆さんの声が届けば叶うかもしれないですね(笑)。
――「冬の陣」では前回以上に歌が挿入されていて、それはやっぱり田中さんの歌が求められているからだと思います。
嬉しいですね。ミュージカルだと“演じている役としての私”の気持ちを歌っているからお客さんは私を見てますけど、「信長の野望」では後ろや前に立って、みんなのお芝居に重ねて歌うじゃないですか。だから、最初は邪魔しないようにって考えてたんですけど、いざ舞台に立ったらお互いがそれを意識せずにできて、そういう感覚ってすごいなって思います。
家康(竹石悟朗)が忠次の刀を見て涙するところですけど、悟朗ちゃんの表情を見るとこっちも泣いてしまいそうになるくらいで、だから私はそんな家康の気持ちも踏まえて歌わなきゃなって思ってました。
あそこは台詞のないシーンが続くところで、「忠次、本当に死んじゃったんだ…」って、そこの悲しさを深くするのは私の歌だと思っていたので、舞台上のお芝居にプラスになれるように、という気持ちで。
歌ってやっぱり人の心を打つというか、音楽の力ってすごいなって思います。自分でも、あそこで私の歌がBGM的にあるのとないのとでは全然違うなって感じました。
――最終章はどんな歌があるのか楽しみです。まだ早いですが、どんなお気持ちでいますか?
今回は「春の陣」を経験してからの「冬の陣」だったから、ステージに立った時、前にあった古い言葉に対する「台詞回し大丈夫かな?」「噛まないかな?」とかの心配事が全く出てこなかったことに自分でも驚いてて。だからこそ、3回目の最終章はもっとできるんじゃないのかと思ってます。
今、違和感なく、すごく自然に市になれてるんですよ。そういうお芝居することへの楽しみだったり、今回こんなに素晴らしい楽曲も作っていただけたので、次もまた歌があったら嬉しいなっていう気持ちとか。あとは、市として明智にムカついているから、明智に対抗したいです(笑)。
台詞のないところ、正座している時もずっと谷やん(谷佳樹)のことを睨んでたりしたんですよ。帰蝶と密会してるのもしっかり見てるから、そこに対しての市を描いてくれたらめっちゃ戦うのになって思ってます。今は台詞がないから対抗できなくて、「はあ!?」とか言えないから(笑)。「市は見ました!」とか…殺陣は敵わないから、そういうので明智と戦いたいです(笑)。
――久保田さんが入れてくれれば(笑)。最終章の前には「悪ノ娘」があって、また美朱の時のように市とは全然違う役からの入りですね。
ん~、でもきっと大丈夫です。今回も「大丈夫かな? 引きづらんかな」ってちょっと思ってたんですけど、案外平気だったし。劇場入りしてステージに立つと色んなことが見えてきて、稽古中に分からなかったことの答えが全てここで出るんです。だから心配しなくても大丈夫だなって。ホントにお芝居って面白いなって思います。
取材・文:鈴木康道
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