そんなある日、菊比古が縁側でうろ覚えの「野ざらし」をせがまれ四苦八苦していると、障子をがらりと開けて助六が登場。菊比古と助六が掛け合いで「野ざらし」を演じるシーンでは、いきいきとしゃべる2人の笑顔が弾けた。
噺し終えて感極まる助六に、菊比古は「助六さん、後生です。八雲を継いで落語をなさい」と改めて訴えた。菊比古にとって、八雲を継ぐのは助六でしかあり得ないのだ。
宿屋での風呂掃除中には、助六と菊比古が一緒に湯舟に浸かる場面も。2人は本当に久しぶりに落語について語り、菊比古はそこで助六に、宿屋の大広前で落語会をやるんだ、と打ち明けた。「お前さんも出る。二人会だ」。
そして迎えた二人会。菊比古は「師匠の形見に」と八雲の紋付を取り出し、助六に着せた。
ギリギリまで往生際悪く渋っていた助六だが、高座に上がると見違えたようにいきいきとしゃべり出す。7年ぶりの高座に助六が選んだのは、得意な威勢のいい古典落語ではなく、しみじみ聞かせる人情噺の「芝浜」だった。自身の境遇に重なるような噺を演じ終え、助六は達成感に満ちた表情を見せた。会場内は温かい拍手に包まれる。助六が帰ってきた瞬間だった。
だがこの夜、助六はみよ吉とともに命を落とした。
夢を捨て、自暴自棄になりかけていた助六が大好きな落語を取り戻す過程に視聴者からは感動の声が上がった。
序盤の穏やかな日々への「菊比古と助六が楽しそうに落語をするところ…あまりにも幸せで涙が出た」「菊比古と助六、小夏が3人で暮らす時間、幸せしかない」「心震えた」といった声。「芝浜」を晴れやかに演じた助六への「助六の存在感をこれでもかと感じた」「渾身の芝浜に泣かされた…!」といった声。
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