甲斐監督の現場は優しい空気で包み込まれている。山形と新潟の極寒の地を巡り、旅をしながら撮影し、凍てつく寒さの中、監督の柔らかい笑い声に、みんな暖をとるように集まってきていました。
でも、ただ優しく温かいから集まってくるのではありません。監督の内側にある衝動の刃は硬質で、斬れ味は日本刀の様に鋭く、地下世界から天空を自由に往き来する想像力には、人を魅了する毒がしっかりある。その蜜の薫りを嗅ぎつけたスタッフ・キャストが集結してつくられた【赤い雪 Red Snow】。
尊敬する共演者の方々と、毒を味わいながら、共振し合いながら、甲斐ワールドを彷徨い、記憶をたどる旅をしました。
見てくださる方々の心に、深々と赤い雪が降り積もり、世界観に浸って楽しんでいただけますことを願っております。
雪の中の少年の後ろを自分も追いかけているような、自分もこの雪の中に立ちすくんでいるような、そんな不思議な感覚に陥りました。
つかんでもつかみきれないこの感覚が、人の記憶という不確かなものと同化しているのかもしれません。
ある雪の日、1人の少年が忽然と姿を消した。少年を見失った兄・白川一希(永瀬正敏)は、自分のせいで弟を見失ったと思いこみ、心に深い傷を負う。
少年誘拐の容疑者と疑われた江藤早奈江(夏川結衣)の周りでは次々と怪しい殺人事件が起こるが、真実は闇へと落ちていった。
30年後。
事件の真相を追う記者・木立省吾(井浦新)が容疑者と疑われた女の一人娘・江頭小百合(菜葉菜)を見つけ出す。
ここから「被害者の兄」と「容疑者の娘」の運命の歯車が大きく動き始める。
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