岡田将生 時任三郎&財前直見と五輪観戦で盛り上がり「本当に家族団らんそのもの」

2018/11/30 07:00 配信

映画

公開中の映画「家族のはなし」で、主人公の拓也を演じた岡田将生撮影=横山マサト

11月23日より公開中の映画「家族のはなし」は、大学生活のかたわらバンド活動していた拓也(岡田将生)が夢に破れて、リンゴ農園を営む両親のもとに里帰りすることから始まるストーリー。人生が上手くいかないいらだちから両親に八つ当たりする息子を黙って受け止める家族の温かい愛情を描く物語に主演した岡田さんにインタビューしました。

――今作は世界で絶賛されている鉄拳さんのパラパラ漫画の実写化ですが、原作を読まれたご感想は?

オファーをいただいてから、原作を読ませていただいたのですが、その家族愛にうるっとしました。りんご農園を営む両親とその一人息子の関係を描くシンプルな家族の話で、温かい気持ちになれるすてきなお話だと思いました。

――今作への出演が決まって、鉄拳さんとはお話されたのでしょうか。

撮影現場に来てくださったんです! メークをされていなかったので最初、鉄拳さんだと本当に気づかなくて。知らない人が現場に来てるなあと思っていたら、「鉄拳さんです!」と紹介されて。「すみません、あいさつ遅れまして……」と思わず慌てました(笑)。

そのとき、鉄拳さんがすごく現場を盛り上げて下さって「いつでもエキストラで出ますから!」とおっしゃってくれて。実際に会ってみて、鉄拳さんの温かみのある人柄と雰囲気だからこそ、こういう話が書けるんだなと納得しました。パラパラ漫画の絵もすごく温かみがあって、大好きです。

――岡田さんが演じる拓也は、バンド活動が上手くいかず、両親に反抗期のようなそっけない態度をとったりしますが、親子関係で共感できるところはありましたか。

僕自身も拓也の年齢のころは、何か上手くいかないことがあるとナーバスになってしまうこともありました。そういう時は、拓也みたいに実家に帰っていました。もちろん口に出して、「うまくいかなくて…」とは言わないんですけど、きっと両親も「帰ってきたってことは、何かあったんだろうな」と気づいていたんじゃないかな。帰る場所があるのは救われました。

――岡田さん自身も拓也のようにもがいていた時に家族に助けられた?

そうですね。10代から俳優のお仕事をしていますけど、ずっともがき続けていますから。現場で上手く芝居ができなかったとか、役に入れないとか、落ち込むことなんて、しょっちゅうありますから。そういう時に共演者の方やマネジャーや友人に相談して、周りの人に助けられることもありますけど、本当にズタズタになっている時は、やっぱり家族に会いに行きます。自分を受け止めてくれる大切な人たちがいるから、挫折感を乗り越えられてきたんだなと思うと感謝の気持ちしかないです。

――時任三郎さん演じる父親に八つ当たりをして、激しく感情をぶつけるシーンが印象的でしたが、家族のシーンの撮影はいかがでしたか。

時任さんは本当に偉大な先輩で。時任さんがドーンとお父さんとして僕の芝居を受け止めてくださったので、自然と家族の関係性を演じることができました。二度目の共演なので、すごく僕のことを理解してくださっていて助けられました。撮影はちょうどオリンピックの時期で実家のリビングのシーンでは、カットがかかるたび、テレビをつけて。時任さんとお母さん役の財前直見さんと羽生結弦さんの試合を見て、「おっしゃー!!」と盛り上がっていました(笑)。みんなで「こういう家族の空間っていいですね」と話していたんですが、本当に家族団らんそのもの。タイトな撮影の中でも時任さんと財前さんだからこそ、家族の関係が演じられました。

――ちなみに拓也のように反抗期の時に父親に怒りをぶつけた経験はありますか?

なかったかな…。むしろよく父親に相談にのってもらいました。仕事の話はしませんけど。「次、こういう役やるんだ」とか、いろいろ話を聞いてくれました。

――岡田さんのお父さんは、どんな方なんですか?

母親はよくしゃべるけど、父親は寡黙で口数が少ないです。仕事人間だったけど、自分もこんな父親になりたいと思うような尊敬できる父親です。僕が少年野球をやっていたときに、親父がコーチをやってくれたんです。日曜日になると、一緒に自転車で練習に行って帰る時間が楽しかった。全力で指導する怖いコーチだったけど、そのときばかりは優しかったから(笑)。女兄弟に囲まれて育ったので、男同士の時間を作ってくれていたのかなと思いますね。

――そんなお父さんとの忘れられないエピソードはありますか?

中学受験の合格発表の時、親父が付き添ってくれたんです。結果、落ちてしまったんですが、そのとき、悔しそうな僕に寄り添ってくれた記憶があって。落ち込んでいたけど、何だか親父が隣にいてくれるだけですごく安心しました。

――映画は涙を誘う物語でしたが、最近岡田さんが涙してしまったエピソードは?

最近は、本気で泣いてないです。泣けない、泣いてないという人が多いから、“今日は泣く日”と決めて、泣ける映画を観たりする人がいるんだと思います(笑)。

――この映画も皆さん試写で泣いていましたよ。

えー、うれしいです! 自分の出演作ということで、客観的に観られなかったので、もう一回、真剣に純粋に観てみます(笑)。

取材・文=福田恵子