物事を簡単に分かろうとするのは、あらかじめ用意されている箱みたいなものが何個かあって、「これはこっちの箱」って仕分ける作業だと思うんですけど、僕の場合は、「これ、どこにも当てはまらん、どうしよ」っていうものを、新たな箱を作ってそこに入れていくっていう感覚が好きなんです。「ヘウレーカ!」もそういう部分があるのかなと思いますね。
ただ、番組を一生懸命作ってくれているディレクターさんとか、解説してくださる先生とかに言わせると、「又吉さん、そうじゃないんですよ、分かるように作ってるんですよ」っていうことかもしれないですけど(笑)。でも、僕には本当に馴染みがないことばかりなので、僕からしたら新しい世界の話に感じるんですよね。
経済学の「オイコノミア」のときは、取り上げるテーマも、規模を落としていけば、自分の身の回りの出来事に置き換えられる、ということも多かったんですけど、「ヘウレーカ!」は、自分の周りでは絶対に起きないことを取り上げる場合もありますから。“光”は自分には置き換えられないんでね(笑)。光の法則とか言われても、僕の中でどれだけ掘り下げていっても、身に覚えがないことやから(笑)。
例えば、どんな話をしてても、最終的に必ず同じ話に持っていく人っているじゃないですか。恋愛の思い出話とか、親友とケンカして何年後かに仲直りした話とか、部活で全国行けたはずなのに、キャプテンがけがして出れんかった話とか、最後はだいたい3つぐらいの話になるっていう(笑)。何でそうなるかって言ったら、きっとその人は、自分の身の周りで起きていることが世界の全てだと思ってるからなんですよね。
要するに、分からんことに触れるっていうのは体力がいるんです。でも、この番組では、分からんことに触れるっていう作業を、敢えて面白がってもらえたらうれしいなと思いますね。僕自身、先生のお話を聞いていて難しいなと思うときもあるし、脳とか体に負荷は掛かるんですけど、“学ぶ”とか“新たに知る”ということは、僕にとってはすごく楽しいことやから。感覚としては、プールに浮いてるみたいなもんなんで。…こんなこと言うて、「そんな番組、誰が見るねん!」という気もしますけど(笑)。
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