井上尚弥、“ボクシング史上最高傑作”ロマチェンコと「戦ってみたい!」

2018/11/30 14:43 配信

芸能一般

ロマチェンコはロボット 今度も相手を降参させる


井上尚弥いわく「ロマチェンコはパンチが強いわけではなく、タイミングがいいんです」(C)NAOKI FUKUDA


――12月9日(日)にはライト級の王座統一戦「WBA王者ワシル・ロマチェンコ対WBO王者ホセ・ペドラサ」がアメリカのニューヨークで行われます。ロマチェンコはアマチュア時代にオリンピックと世界選手権を連覇、戦績は397戦396勝1敗です。

オリンピックと世界選手権を連覇するなんて、本当にすごいことですよ。(アマチュアの)戦績もヤバいでしょう(笑)。アマチュアボクシングは3分×3ラウンドですからね。それであの戦績でしょう。もうロボットですよ。

――井上選手はアマチュア時代、国際大会の現場でロマチェンコの試合を見たことがありますか。

あります。ロンドンオリンピックの前の世界選手権(2011年)でしたが、アディダス社製の大きなグローブなのにボディブローで倒していました。それほどパンチのタイミングがいいわけで、当時から目立っていました。

――ロマチェンコも3階級制覇を成し遂げています。

ボクシングは基本的には殴り合いなんですが、ロマチェンコはそれをゲーム感覚でやっている印象ですね。僕の中ではアマチュアの練習で採り入れているタッチゲーム(相手の肩や膝などをタッチしてポイントを取るゲーム)のイメージが強いんです。

――それでも8連続KO勝ち中です。

ロマチェンコはパンチが強いわけではなく、タイミングがいいんです。倒すというよりも、どの角度からもパンチを当てるゲームの印象ですね。タッチゲームに耐え切れずに相手がギブアップする感じ。相手は挽回できないと諦めるんでしょう。

――2018年5月のホルヘ・リナレス戦はご覧になりましたか。

いい試合でしたよね。ロマチェンコの気の強さが見えた試合でした。技術はある、スタミナもある、そして精神力も強い。ロマチェンコは完璧でしょう。6回にダウンを喫したけれど、(ダメージが)足にきている感じではありませんでした。

――身長170cm、リーチ166cm。ライト級では小柄ですよね。

パワーで勝ち上がってきた選手は(階級を上げると)体重の壁に当たるけれど、ロマチェンコは技術で上がってきているので階級(体重)の壁を感じないんだと思います。

――そのロマチェンコがスイッチヒッターのペドラサと対戦します。このペドラサもアマチュア時代に2008年北京オリンピックに出場(ライト級初戦敗退)、2009年の世界選手権では準優勝しています。

でも、パワー型ではないですよね。そうなると体格では上回っていてもロマチェンコに勝つのは難しいでしょう。ただ、スイッチヒッターは読めないところがあるので、やりにくいのは事実です。

反面、慣れてくると崩されやすいというマイナス面もあるんです。結局、パターンは同じなので、ロマチェンコはすぐに読んでしまうと思います。ペドラサも戦っていてイヤになってしまうんじゃないですかね。

――もしも体重や条件が合えば、ロマチェンコと戦いたいと思いますか?

もちろん戦ってみたいですね。ロマチェンコのスタイルはだいたい分かっているので、それをイメージしてリングに入って、あとはその場の感覚で戦ってどこまで対応できるかということになると思います。

<インタビュー/構成=原 功>

関連人物