2018年11月4日にNMB48を卒業した山本彩。結成当初からキャプテンとしてグループを牽引してきた姿を振り返る番組「山本彩卒業特番~NMB48で歩んだ8年間~」がBSスカパー!で放送された。
7月30日、NMB48の全国ツアー「NMB48 LIVE TOUR 2018 in Summer」初日の中野サンプラザ公演での卒業発表のシーンから番組は始まった。アンコールでの突然の発表に他のメンバーもファンも驚きを隠せない様子が映し出される。
そして一気に時間は遡り、2010年へ。NMB48の1期生オーディションの時の映像が紹介され、山本の初々しい姿が見える。「ドキドキしていたので、結構端っこの方にいました」と、オーディションの時の心境を語った。音楽の道に進みたいと思っていたが、オーディションに落ちてしまい、高校2年生の進路を決める時期だったため、母親に勧められたNMB48のオーディションを受けたという。実は、NMB48のオーディションの日と、音楽関連のオーディションの日がかぶっていたが、NMB48を選択。そのことに関しては「本能でNMB48を選んでいたんだろうなと思います(笑)」とコメントしていた。
2011年1月1日、この日はNMB48劇場のこけら落としとして「誰かのために」公演が開催された記念日。山本は選抜メンバーの16人に入り、キャプテンに就任した。「レッスン期間が長くて、みっちりやってきたので、やっとファンの前で出来るんだって気持ちでした」という心境を語り、「早くも感情のピークを迎えていて、初日なのに泣いたりしていました」と当時を振り返った。
続いて、デビューシングルとなった「絶滅黒髪少女」のミュージックビデオの撮影風景や、「後輩というのが初めてだったので」と戸惑う様子が見られた2期生加入の頃の様子などが映され、「お互い人見知りというのもあって、近づけなかったんですけど、2年前の組閣を機に、一気に近くなって」という谷川愛梨ら、2期生のコメントも紹介された。
結成1周年のライブ映像と共に、「1年があっという間で、その間にいろんなことがあったのでグループの危機を感じたこともあったので、みんなで痛みを分かち合って」と、最初の節目での発言も。「ジャングルジム」というソロ曲をもらったのもこの頃だったが、グループ史上最速でソロ曲をもらったことで、特別扱いされたこと、優遇されていることに対して引け目を感じていたと告白。
2012年11月にリリースされたシングル「北川謙二」では、現在AKB48グループの総監督を務めている横山由依がNMB48と兼任し、選抜メンバー入り。今でも仲のいい2人だが、この頃に絆が生まれた。横山由依は当時を振り返り「どんな時も山本彩として変わらずにいてくれたことが、彩ちゃんの1番好きなところですかね」と証言していた。
その後、3周年公演での1度卒業していた城恵理子の復帰場面、2013年の大晦日に放送された「NHK紅白歌合戦」への初出場、4周年記念ライブでの山田菜々の卒業発表など、グループとしての重要な出来事が次々と紹介されて行く。“みるきー”こと、渡辺美優紀の卒業もその大きな出来事の1つ。デビュー当初から山本といいライバル関係を保ち、お互い高めあってきたメンバーということで、山本個人としても、グループとしても、大きなターニングポイントとなったようだ。「正直、直接(卒業することを)聞いた時は、私も(卒業を)考えていた時期でもあったので、『先に卒業しちゃうんや』って、取り残されたような気がしました」と言い、「みるきーの卒業はすごく大きなことだったので、何か特別なことができないかなと思って」という気持ちで「今ならば」を山本は作曲した。そんな山本のことを、渡辺は「私にとって唯一無二の存在」とコメント。比べられることが「ずっと辛かった」という山本は、「(渡辺が)いる時と、いなくなった後の私は全然違うって言われます。丸くなったって言われます、トゲが抜けたような感じだと」という変化も語った。
その後「NMB48コンサート2016 Summer~いつまで山本彩に頼るのか?~」「NMB48 LIVE 2017 in Summer~いつまで山本彩に頼るのか?Revenge~」という、山本彩抜きのコンサートが開催されたが、この辺りから、それ以前から考えていたという“卒業”が現実味を帯びてきたようだ。「自分のいないNMB48を想像しやすくなったし、期待とか、安心感とか、その頃から芽生え始めた」という。
そして卒業発表を終えた後、研究生公演をプロデュースし、その公演に向けて「夢は逃げない」を作った。幕張と大阪で8周年記念コンサートが行われ、2018年10月27日に大阪・万博記念公園で卒業コンサートを開催。グループ史上最大規模の公演は大成功を収めた。渡辺美優紀をはじめ、1期生メンバーが登場したこのライブの様子はたっぷりと、さらに
「今日でアイドル山本彩が完結します」と語った、11月4日の劇場公演の模様も放送された。「私の最後の役目が残っているので務めさせていただきます。たくさん考えて、スタッフさんとも相談して、いろんなメンバーとも話をして、時間をかけて指名させていただきました」と、新キャプテンに5期生の小嶋花梨を指名。
大阪・難波を拠点にしたアイドルグループのメンバーのひとりとして2010年にアイドル活動をスタートさせた山本彩は、キャプテンという重責を担いながらも前に進み続け、その背中で後輩メンバーたちに、いろんなことを示してきた。最後に「あなたにとってNMB48は?」と聞かれた山本の答えは「愛のかたまりです」だった。
その思いがしっかりと伝わってきたこの2時間の特番が12月24日に再放送されることが決定。初回放送から、アジアツアー、8周年記念のチーム曲、公演曲などが少し追加されているので、改めて“アイドル山本彩”の軌跡を目撃してもらいたい。
文=田中隆信
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