井浦新、震災テーマの実話ドラマに「この作品をやり遂げていくことが大きな挑戦」 

2019/01/12 07:00 配信

ドラマ インタビュー

当たり前が当たり前じゃないという幸せ


井浦新撮影=永田正雄


――実際に六甲道駅でロケを行ってみて、いかがでしたか?

感慨深い部分は本当にありました。撮影で何度も六甲道に行ったのですが、最初に六甲道へ行って駅を見たときの印象と、東京でロケやセットで復旧作業をしていくシーンを撮り終えて、また六甲道に行ってロケを経て見たときの印象とでは大きく変わっていました。

撮影が六甲道駅のロータリーで行われたので、大掛かりな撮影隊がいたら地元の皆さんも何だろう? と思って立ち止まるんです。

楽しそうに見学してくださっているんですけど、見学されてる方たちが多過ぎて、撮影が中断したり、スムーズに行かなくなったりしたこともあったんですけど、それさえもいいよ! という気分になりました。

この六甲道駅を、普段生活の中で当たり前に使っていることっていうのが、撮影で復旧作業をしてきた上で見ると本当にキラキラと輝いているんです。地元の方たちが楽しそうに撮影の現場を見てくださっている姿がうれしく思えてきて。“当たり前の日常がやっと今、あるんだな”って。

井浦新撮影=永田正雄


実は、撮影前に一人で六甲道へ行きました。今の六甲道を見ないとスタートしきれないと思って。でも、そのときは確認作業くらいの気持ちだったんです。

駅員の方たちにもいろいろお話を聞いてみましたが、若い駅員の方たちで、当時のことを知ってる人がいなくて。「それがいまなんだな」と思ったりもしました。

あとは、高架の下にチョークの跡があって、きっとこれは当時のチョークの指示の跡なんじゃないかな? っていうふうにイメージすることしかできませんでした。

ですが、芝居を重ねるにつれて、六甲道駅が他人事じゃないというように思えて。最後に六甲道駅を見たときには、こんなに当たり前にある六甲道駅が、いかに当たり前じゃないかっていう幸せをかみ締めていました。

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