僕が演じる稲葉夕士は高校1年生で、3年前に両親を亡くして伯父の家で育てられています。でも、高校入学と同時に入る予定だった学生寮が火事で焼失し、代わりに見つけたアパートにやってきたところから物語が始まります。
いつもなら座長だと「みんなを引っ張らないと!」と思っているのですが、今回は周りに導いてもらう夕士と同じように、他のキャストに支えてもらったなぁ、と感じています。魂を込めて稽古に臨んできたので、すてきな作品に仕上がりました。
この作品を見た後に考えるのは「普通とは何か?」という事だと思います。僕にとっての普通と皆さんにとっての普通が違うのと同じで、相手のことを完全には理解できません。でも、この作品を見ると、その境界線を踏み越えていく勇気をもらえると思います。ぜひ見に来ていただいて「普通とは何か?」を考えていただけたらうれしいです。
この作品は、妖怪アパートを中心にした稲葉夕士の成長ストーリーで、僕が演じる長谷は、稲葉の親友として彼を見守り支える大切な役どころです。今回の舞台では長谷は舞台上にいるけれど、稲葉やみんなには見えていない存在です。二人の手紙のやり取りから稲葉の過去が見えていくので、稲葉が誰からどんな影響を受けて成長していくのかを意識しながら演じたいと思っています。
(この作品は、小説・漫画・アニメになっていますが)舞台なので、見に来ていただいた方にも生身の人が演じていることに意味がある、と感じていただけるものになっていると思います。
龍さんは夕士君を一番俯瞰して支えている役どころです。僕とは似ている点が少ないので、どう寄せていくかが一番大変でした。あと、今の現状に満足しておらず、居場所がない夕士の悩みが全て龍さんには分かっていて、「こうした方がいいんじゃない?」と選択肢を与える役なので、夕士君を導く道筋を作っていくのは大変だなぁと思いました。
でも、演じていくうちに時には厳しかったり、信じてあげたり、見守ってあげる龍さんの優しさを感じることができて、そこを大切にしたいなと思っています。登場する妖怪や幽霊がダンサーの三井さんのすごいパフォーマンスで表現されているので、そこは舞台ならではです。みんなで魂込めて作ったので、楽しんでいただけたらと思います。
僕が演じる一色は、この作品の中でも、稲葉夕士との関わりが深い役どころです。親友の長谷とは違い、アパートの中で稲葉が悩んだりしたときに親のような目線で見守る役なので、そこを大切に全公演、演じたいと思っています。稲葉役の前山君とは2年ぶりの共演ですが、久しぶりなので初めはお互いに様子を探りあっているところもあって、稽古では特に話し合うことはなくお互いにやりたいように演じていました。
先日「お互いに成長したよね」と言い合ったくらい、前山君の芝居や座長としての姿に変化を感じて、すごいなと感じています。タイトルにもあるように「日常」が夕士の目線で描かれているので、共感できる部分がたくさんあるんじゃないかなと思います。
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