梶裕貴が語る「あした世界が終わるとしても」の魅力『映像を受けたときに衝撃を受けた』

2019/01/23 19:54 配信

アニメ インタビュー

狭間真役:梶裕貴


演じる真に対する思い


――初めて役をもらったときの感想や、演じる真に対する思いは?

櫻木優平監督とは以前、この作品の誕生のきっかけとなった「ソウタイセカイ」でご一緒させていただいたことがあります。

そこでの芝居経験がとても楽しくて、いつかまた櫻木監督の作品の中で呼吸をする機会があったらいいなと思っていました。なので、それが今回劇場作品として実現して、とてもうれしく思います。

真は幼いころに母を亡くした少年。特殊能力を持っているわけでもなく、ごく普通の男子高校生です。

生い立ちのせいか、心を閉ざしがちで、人に対する最初の一歩を踏み出せないでいるんです。もちろん、トラウマから人との心の距離を縮めることを怖がっている部分もあるのかもしれませんが、思春期の少年らしい、ちょっと自意識をこじらせている感じもある。

父親に対して反発していたり、幼なじみの琴莉に対してもそっけない態度をとってみたり。でも本当はちゃんと優しい。

その葛藤というか、ブレ具合がすごく人間らしいキャラクターだと思います。現代日本に生きるそんな少年が、縁のなかったはずの“戦争”という非日常に巻き込まれていく。そこにこの作品の面白さがあると思います。

――作品の見どころは?

作品は大きく分けると序盤の真と琴莉の青春パート、後半以降、激しいバトルが展開していくSFパートで構成されていると思います。見どころを一カ所だけ挙げるのはなかなか難しい作品ですが、僕は序盤にある、真と琴莉の会話シーンにすごくひかれるんです。

日常生活の中での会話に、とてもリアルな空気があるんですね。もちろんSFパートやバトルシーンもスピード感があってハイクオリティー。

純粋に映像美を楽しんでいただけるものにもなっていると思います。日常生活も異世界もバトルも全部がひと作品で見られるのは、アニメならでは。今のアニメでできるいろんな要素が詰まっている作品です。

――アフレコを行っての感想は?

前半の日常パートでは、真の思春期らしい自意識や異性への対応など、人間らしい感情をこじらせていることが見え隠れしています。

決して多くはないせりふの中で、いかに真の葛藤や心のブレを表現できるかが挑戦でした。

僕は比較的、普段はバトルものやファンタジーものに出演させていただくことが多いんです。

そんなこともあって、一般の男性と女性の会話である、真と幼なじみの琴莉のやりとりに、いかにリアリティーをもたせるかは、演じていて難しくも楽しいところでありました。

そして、そんなふうに人間らしく生きてきた真が、後半のSFパートでは、急に戦争に巻き込まれていきます。

だからこそ、現代日本人である自分もすごく真の気持ちが分かる。僕自身もリアルにこのドラマを感じながら、生々しいお芝居ができればと思いながら演じました。

真が自分の身を挺して戦うバトルシーンでは、僕自身「もうどうとでもなれ!」と思うぐらい、一つの叫びに魂を込めています。

アフレコ時はありがたいことに、映像がほぼ完成版に近かったんです。

キャラクターの表情や動きがはっきりと分かっていたので、そこに映像だけでは拾いきれない音や息を加え、キャラクターが立体的に生きている臨場感を上乗せできればと思っていました。

どうしても間が欲しいところなどは、監督に相談したことも。自分の考えるキャラクター像を提案して、監督はそれに耳を傾けてくださる。非常にクリエーティブで熱い現場でしたね。