複雑な関係のまま1つ屋根の下で暮らすことになった、3人の恋の行方を描いた人気漫画「ドメスティックな彼女」がアニメ化。通っている高校の教師・橘陽菜(たちばなひな)へ密かに想いを寄せていた藤井夏生(ふじいなつお)。かなわぬ想いを隠しながら日々を過ごす彼は、何気なく参加した合コンで出会った女子高生・瑠衣(るい)と成り行きで初体験をしてしまう。そんなある日、父の再婚相手と一緒に夏生の前に現れたのは、陽菜と瑠衣の橘姉妹だった。
今回は、橘瑠衣役の内田真礼と橘陽菜役の日笠陽子に、演じるキャラクターの魅力などを聞いた。
本作のストーリーを初めて知った際の感想をお聞かせください。
内田「ちょっと現実味のない話ではあるんですけど、読み進める中でリアルだなって思える登場人物たちの感情の動きが、しっかり描かれていると思いました。私が演じるルイにも、ナツオ、ヒナ姉にも素直に感情移入できる作品ですね」
日笠「第一印象は、ちょっとエッチな描写がある、家族になった男女の禁断の関係を描くお話だったんですけど、今回ヒナを演じるにあたって、もう一度原作コミックをきちんと読み返してみました。人間の心の機微や思春期ならではの心の揺れ動きだったり、登場人物たちのセリフでは表現していない、複雑な感情を読み取ることができる表情が描かれた、とても奥深くて繊細な作品だと思いました」
演じられるキャラクターの魅力、またご自身との共通点がありましたら教えてください。
内田「ルイの魅力は、すごく等身大な女子高校生らしさだと思います。登場したばかりのルイは、恋心もまだ知らないし、人と人との関係性を築くのも下手なんですよね。でも、そこにはヒナ姉へのコンプレックスが隠れていたり、自信のなさが隠れていて、話を重ねていく中でミステリアスなルイが持つ人間的な部分が見えてくるかなと。ナツオとの出会いをきっかけに、彼女の本心が分かってきて、だんだんかわいく思えてくるはずです。自分とルイは、基本的な感じはすごく似ていますね。私も、仕事を始めてから少し開放的になったというか...」
日笠「そうかも!最初に会った頃はおとなしかったもんね。すごく明るくなったな、と思います」
内田「ルイの自分を出せないし、笑うことぐらいしかできなくて、うまく人間関係が築けないところはすごく共感しますね。私には従姉がいるんですけど、すごくおしゃべりが上手で明るくて、何でも率先して行動する彼女が周囲を盛り上げている姿を見て、自分はおとなしく部屋に戻ってしまうことがあったんです。親戚一同が集まって楽しそうにしていても『...いいです』って部屋の隅っこにいたり、ご飯を食べている時も静かみたいな(笑)」
日笠「言われればそんな感じだった」
お2人が知り合ったのは、いつごろなんですか?
内田「私が20歳くらいの時ですね」
日笠「大人になったというよりは最初に会った時よりも若返った感じがする。今の方が、すごく元気で生き生きしている」
内田「生きる道を見つけた感じですかね。昔は、どうしたらいいか分からない感じだったんです。先輩とお話しするとか、人間関係を築くのが下手で。でも、それがちょっとずつできるようになったのかな。私の表面のイメージは、演じているキャラの影響もあって明るくて元気な感じですけど、ルイが持っているテンション感は近いかも。私の力を全部抜いたら、ルイみたいになるかな」
ヒナはどうですか?
日笠「オンオフをきちんと切り替えることができる大人で、仕事モードの時もあるし、家では見せない心模様や、一瞬気が抜けた時に少し暗い表情もある、明るさと暗さの両方を持った子だと思います。ルイとナツオがヒナ姉の行動を追うエピソードがあるんですが、そこでヒナ姉が"おひとりさま"上手なことが描かれるんですよ。"おひとりさま"上手な人って心が独立しているというか、しっかり個を確立している大人だと思うんですけど、ヒナ姉はそういった部分が魅力的ですよね。ヒナ本人はその気はないんですけど、結果としてナツオの心を揺さぶってしまう天然ちゃんみたいなところがあるので、そこは全く似ていないなと思いますね。でも、明るい部分は似ているかな」
内田「アプローチの仕方はヒナと違うかもしれないけど、ナツオ役の八代拓くんと日笠さんが話しているのを見ていると、翻弄している感じありますよ」
日笠「えええーっ!本当?」
内田「拓くんが日笠さんの言動で『えええーっ』ってなっている感じは、ナツオとヒナ姉っぽいですよ」
日笠「拓くんは本当に弟みたいな感じなんだよね!」
最後に、ファンの方たちへメッセージをお願いします。
内田「『ドメスティックな彼女』は、誰かと語り合いたくなる作品です。昼ドラのように共感性の高いアニメなので、ぜひ繊細に描かれているキャラクターたちの感情1つ1つを楽しんでいただければと思います」
日笠「アニメ化ということで、どこまで描かれるんだろうと思っていらっしゃる方も多いと思いますが、繊細な表現がすごく多い作品なので、私たちもキャラクターの心の動きを敏感に感じ取りながら、お芝居させていただいています。ナツオたちが通う高校の一生徒や、彼らの家族になった気持ちで物語に入り込んでいただけたらと思います」
文=中村実香 撮影=中川容邦
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