――監督としてのゴリさんの印象はいかがでしたか?
芸人さんとしてのイメージが強いんですけど、本当に真面目な方で、映画に対しての愛がすごく深いので、映画監督としてもすごく優秀な方だなって思いました。これからも監督をずっとやっていってほしいですし、いつかまた出してほしいなって思います(笑)。
演出の仕方も、ちゃんと監督の頭の中にはイメージが事細かにあって、撮りたい画があったらきちっと説明してくれますし、でも、ある程度のところは任せてくれたので、現場では何のストレスもなくやっていました。
――優子の相手役・亮司を演じたのも芸人の鈴木Q太郎さんでしたが、役者としてのQ太郎さんはどうでしたか?
元々脱出ゲーム仲間で、脱出ゲームでご一緒したことはあったんですよ。もちろん芸人さんとしてのQ太郎さんしか見たことはなかったのですけど、今回のスパイス的な役どころに、いい意味で俳優さんっぽくないところがマッチしていたと思います。
――優子は妊娠して島に帰ってきますが、これまで妊婦役の経験は?
妊婦姿で着物を着たこともあるし、ギャルの妊婦役をやったこともあるし、舞台とドラマ合わせて5回くらいやっていると思うので「もう何人産んだかな?」って感じです(笑)。
でも、今回の「洗骨」は私が妊娠していることが家族をバラバラにしたり、また1つにしたりする大切なポイントだったので、そこは抜かりなくやりたいなと思って、お風呂入るとき以外は1カ月間、大きなお腹を寝るときもショッピングのときも外さずにいました。
お腹が大きいままだとうつぶせで寝られないんですけど、あおむけも苦しいので基本的には横向きで、手がお腹を触っているようなしぐさとかも自然に習得しました。
私は役作りで一番大事なのは“癖付け”だと思っていて、方言もそうですけど、人っていろんな人の癖があるから、それぞれ違うように見えるわけじゃないですか。そういうところに気を配っていたので、すごく大切にしました。
――パンフレットのゴリさんのコメントにもありましたけど、本当にずっと大きなお腹を付けていたんですね。
そうですね。付けたまま移動していると、妊婦さんを目にすることが多くなりました。ショッピングセンターに行ったときは、亮司さんと出会う前のシーンしか撮っていなかったので、1人でショッピングセンターにいて、周りで旦那さんが奥さんのことを気遣っているのを見ると、「私もああいうふうにしたかったけど、逃げて帰ってきちゃったから1人で育てなきゃいけないんだ」って気持ちになったり、そういういろんな感情を得ることができたのでよかったなって思います。
――撮影の中で洗骨を体験した感想は?
本当におかあの骨だと思ったら、大切に、大切に洗わないといけないなっていう気持ちになりました。
ひつぎを開けたときはミイラ化しているので、すごく衝撃的で、「おかあがこんな姿になってしまったんだ」って思ったんですけど、いざ骨を洗うときには「ちゃんときれいにして納骨してあげたいな」っていう優しい気持ちというか、穏やかな気持ちにもなりましたし、ちゃんと洗骨してもらえるような人間にならないとなって思いました。私は沖縄出身ではないので、火葬になると思うんですけど(笑)。
「あの人、死んじゃったね」くらいの感じではなく、「ちゃんとみんなでお墓参りに行こうね」って思ってもらえるような生き方をしないとなっていうのはすごく思いました。
――では最後に、これから水崎さんの第2章はどのように描いていきましょうか?
表面的な役作りに飽きたというか、派手な役には飽きちゃいましたね。私自身、内面はそんなに派手じゃないのに、いつも派手な役が来るんですよ(笑)。
だから、私自身と役との距離があって疲れちゃった部分もあるし、頑張り過ぎちゃったなって思うところもあるんですけど、「洗骨」では自分の生きてきた経験とかを生かした役ができたので、こういう役をまたやっていけたらいいなって思います。
この前に出た「光」も等身大に近い役だったんですけど、普通に恋愛するとか、普通に家族でいるとか、そういう役がいいですね。でも、小さいときになりたかった救急救命士の役はやってみたいなって思います。
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