池井戸潤原作の映画「七つの会議」(公開中)で野村萬斎と香川照之が初共演。都内にある中堅メーカーを舞台に、“居眠りハッカク”の異名を持つぐうたら社員・八角(萬斎)と、社内の絶対権力者である営業部長・北川(香川)、彼らに関わる社員と上層部の攻防、そしてそこから見えてくる会社の秘密と闇が描かれていく。今回、池井戸作品を数多く手掛ける福澤克雄監督の下で初タッグを組んだ二人に、福澤組ならではのエピソードと映画の魅力について聞いた。
――萬斎さんは福澤組に初参加でしたが、すぐになじむことはできましたか?
萬斎「僕は舞台を中心に活動しているので、映像作品に参加するときには多少表現を抑えないといけないかなと思うことが多く、今回も最初はどこまでやっていいのかなという思いがありました。なので、新参者の自分としては、福澤組の常連の方たちのお芝居を拝見するところから始めました。そういう意味では、香川さんは福澤組のことを知り尽くしてらっしゃいますから、お手本とさせていただいたところはありましたね」
香川「4000㏄とか5000㏄のエンジンを持っている方が40㎞の速さで走ってくださいと言われるのと同じですよね。萬斎さんは空間が張り裂けるぐらいのものを出せる方ですし、映像的なサイズを考えて表現を抑えようとされるのはわかる気がします。でも、ジャイさん(=福澤監督)が求めるのは熱さなので、どれぐらいの熱量を出せばいいのか、最初はご苦労されたところがあったかもしれませんね」
――逆に香川さんは福澤組の常連ですが、福澤監督の現場をどう見てらっしゃいますか?
香川「ジャイさんはとにかく熱いものをほしがる方なので、テストも本番と同じぐらい本気で行かないと納得してもらえません。それは多分、ジャイさんが学生時代にラグビーをやってらっしゃったことが影響している気がします」
――というのは?
香川「ラグビーは普通では考えられないほど人と人がガチンコでぶつかるスポーツで、例え、脳しんとうを起こそうとも前に向かって進み、命がけでゴールを目指します。ジャイさんには今もその感覚があって、『おまえはその程度なのか、それなら俺の方がまだやれる』といった現役引退したての監督のような思いがあるのではないかと。なので、中途半端なものでは納得しないし、我々も全力で向かっていかないといけない。福澤組はそういう一瞬一瞬が真剣勝負の場だと思います」
萬斎「確かに真剣勝負の場という感じはしました。僕の感覚では舞台に近いというか、こんなにぶつけていいんだといううれしい驚きと同時に、福澤監督はライブ感覚の強い方なのかなと思いました」
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