NHK総合にて11月6日(土)に放送される、「ドラマスペシャル 大阪ラブ&ソウル この国で生きること」の会見が10月13日、都内で行われ、出演者の永山絢斗、ダバンサイヘイン、岸部一徳、南果歩、三林京子、脚本を手掛けた林海象らが出席した。
本作は、大阪・鶴橋を舞台に、在日コリアン3世の大学生・哲浩(永山)が、ミャンマー難民の恋人・ネイチー(へイン)との結婚を決意し、立ちはだかる障害を乗り越えながら成長する姿を描いた愛の物語。結婚に反対する父・暉雄(てるお・岸辺)と対立する哲浩に対し、祖母・順慈(新屋英子)は一族が日本にやってきた秘密を明かし、祖国である韓国・済州島への父子旅を命じる。ミャンマーの独立運動や、済州島で起こった四・三事件の歴史、難民に対する日本の実情など、国をテーマにさまざまな問題を描き出す。
ヒロインを演じたのは、自身もミャンマー難民として日本に渡り、現在は関西の大学に通うヘイン。取材で出会った演出の安達もじり氏らが2カ月に及ぶ出演交渉を行い、演技経験のないヘインを見事口説き落とした。ヘインは「この作品を通して、皆さんにミャンマーの現状をもっと知っていただけたらと思います」と本作に込めた思いを語った。記者から印象に残ったシーンを問われた主演の永山は「済州島で撮影した海のシーンです。(四・三事件の時に)海岸で銃殺された人々の姿を想像し、体が動かなくなるという場面を演じたんですが、その撮影前に銃殺の再現シーンの撮影を見に行きました。翌日の本番では、本当に動けなくなる気持ちというものを体感しました」と一語一語かみしめながら振り返った。さらに、韓国ロケでのエピソードについて永山は「撮影の10日間中、8日間は腹痛で苦しかったです。現地のキムチが比べ物にならないくらい辛くて。その後に腹痛になったから、キムチが原因だろうと思ったんです。でも、病院に行ったら『チヂミです』と言われて。腹痛中もチヂミはおいしくて食べていたので、これは治らないはずだなと(笑)」と海外ならではの苦労話を披露した。
出演者が声をそろえて絶賛したのは、ネイチーが哲浩の祖母・順慈と対面し、かけられた言葉に対し涙を流す場面。南は「ハルモニ(祖母)に声をかけてもらうネイチーの背中を見ていて、すごく泣けてきました」と振り返り、三林はヘインの演技に触れ「すごいエネルギーを発散していて、下手・上手いを通り越したソウルを彼女から感じました」と熱演を褒めたたえた。
普段は映画監督として活躍し、自身も在日コリアン3世である脚本の林は「(演出の)安達監督から重い題材をたくさん提案されて、私に書けるのかなと思いましたが、若い2人のラブストーリーを中心にするということで、何とか書くことができました。このドラマは、問題提起をしただけに過ぎません。見た方には、今後、若い2人がどういう風に暮らしていくのかを想像していただければと思います」と視聴者にメッセージを送った。
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