日本テレビ系列で、12月に放送されるスペシャルドラマ「ヒューマンドラマスペシャル ニセ医者と呼ばれて~沖縄・最後の医介輔~」に出演する堺雅人、寺島しのぶが都内のスタジオで収録の合間に取材に応えた。
同作は、沖縄で「最後の医介輔(いかいほ)」と呼ばれ、'08年に87歳で引退した実在の人物・宮里善昌氏をモデルに描くヒューマンドラマ。“医介輔”とは、第二次世界大戦後、アメリカ統治下の沖縄において認められた代用医師、すなわち医師免許を持たない医師を呼ぶ。医師による医療が行き届かない地域で、特例として医療行為が認められた存在で、「重病患者に対する診療禁止」「医師の指示によらなければ抗生物質を使用してはならない」などの制限を受ける。
'59年、医介輔の宮前良明(堺)は、満足な薬も治療設備も持てない医介輔という立場に無力感を抱えながら、病やけがに苦しむ村の人々のために診療を行っていた。そんな良明を、妻のハナ(寺島)は黙って見守り、献身的に支える。そんなある日、近隣の漁師・仲前雄太(阿部力)の妻・由美(尾野真千子)が診療所にやって来て、自身の妊娠を告げる。しかし、彼女は3カ月前に米兵に性的暴行を受け、おなかにいる子が夫の子か米兵の子か分からないと打ち明ける。
沖縄でクランクインした堺は「今回、沖縄から入ったっていうのは、全体のリズムとして非常に良かったと思うんです。せかせかしたリズムでなく、沖縄のゆったりとしたリズムを体感できて非常にありがたかったですね」と感想を。また、クランクイン当初は、オリオンビールにはまっていたという堺だが、「沖縄の人は、オリオンビールからすぐ泡盛に変わるみたいで。僕もそれで、あのころ(クランクイン当初の取材時)はオリオンビールがおいしい時期だったんですが、翌日くらいから泡盛に変わりました(笑)」と、沖縄の地酒を楽しんだ様子。
今回、意外にも寺島と初共演だった堺だが、「初共演だということに1カット目を撮るまで気付かなかった」と話すほど、すんなりとなじめたという。良明を演じる上でも「良明に関して言えば、頭でいろいろ考えていても、妻の存在感で吹き飛ばされる瞬間が多々ある気がします。妻に対する全幅の信頼という意味でも、(ハナ役が)しのぶさんで良かったな、と思います」と共演を喜んだ。
ドラマの見どころについては、「全部なんですけどね(笑)」としながら、「それぞれの人間が丁寧に描かれた作品になるよう頑張っているので、それぞれの人物の生きざまを見ていただけるとうれしいです」と語った。ハナを演じた寺島は、「常に何も言わず、夫の後ろから『この人は何を考えてるんだろう?』とずっと見ている人物。それがある日爆発して、自分の本音を吐露するシーンがあるんですけど、そこを演じるのがとても楽しみです」と撮影を楽しんでいる様子。良明を演じた堺については、「ハナはもしかしたら別の誰かでもできるかもしれないけど、良明は堺さんじゃないとできないのでは、と思いました。あの(良明の)笑顔を出せるのは堺さんしかいない、本当にぴったりだと感じました」と絶賛した。さらにドラマについては、「勇気のある作品だと思うんですよね。ドキュメンタリーでは、こういう事実を流した作品はあるんですけど、それをあえてドラマ化して見せるっていうのは、今まであまりなかったような気がするんですよね。今の普天間基地問題と重なって、すごく痛いなって…。そういう事実を日本人がちゃんと見ないといけない。こういうことがあったっていうことをちゃんと見てほしいし、わたしたちはそれを伝えたいという感じです」と思いを語った。
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