「東京ドラマアウォード2010」で、「連続ドラマ部門グランプリ」と「アジア賞」を受賞したTBSテレビ制作のドラマ「JIN-仁-」のシンポジウム「ヒットドラマの舞台裏~「JIN-仁-」の目指すもの~」が10月26日、都内で行われ、出演者の小出恵介、プロデューサー・石丸彰彦氏、ディレクター・平川雄一朗氏が制作時のエピソードなどを語った。
2つの栄えある賞を受賞したことについて、石丸氏は「そこまで、意識して(ドラマを)作るものじゃないし、ただ単純に、シンプルに日本の人に見てもらいたいなっていう気持ち。すごい大事に作っていった結果、そういう賞をもらえて光栄です。来年4月に、完結編として放送されるので、来年もこの場所に来たいなと思います」とコメント。一方、平川氏は、「(このドラマは)江戸の笑顔を大事にしたいなっていうことから始まっていたんです。仁(大沢たかお)が僕らの目線になっていたので、(視聴者が)ドラマの中に入り込みやすかったんじゃないかな。江戸に生きている人たちの気持ちが伝わりやすかったドラマだったので、海外の人たちにも通じたのかなと思いますけどね」とヒットした理由を分析した。
また、小出をキャスティングした理由について石丸氏は「小出さんのお芝居が好き、トーン、空気が好きなんですね。見せつけてやるっていう勝負する時の作品には、(小出に)いてもらわないと困るということで決めたんです。最終的な橘恭太郎の落としどころは、小出恵介さん以外できないなっていう最終回のイメージがあるですよ。来年の6月ごろに(ドラマを)見れば、わかると思うんですけど(笑)」と意味深な発言も。
石丸氏を始め、時代劇撮影が未経験のスタッフが多く、苦労もあったようで「時代劇のスペシャリストの結髪の方や衣装さんとかと初めて組んだんですけど…全然、僕らが(時代劇の撮影方法を)理解してなくて。わがままというか、無謀だったんです。“ヅラ”って言っちゃいけないのに、言ってしまって怒られたり(笑)。勉強させられましたね~」(石丸氏)、「“まげ”の部分とかを(撮影する)直前に直すんですよ。その時間が長いんですよ。『本番!』って言われた後に、現場がピリッとした中で(直しを)やられて…。そのタイムラグには、最初のうちは慣れなかったですね」(小出)と、それぞれ撮影中に戸惑ってしまったエピソードを語った。
さらには、話題となったラストシーンについて、石丸氏は「そもそも、あそこで終わるつもりだったんです。でも、世間の反響ってすごいなって思ったんですけど、うちの息子が『お前のおやじにちゃんとしろって言っとけ』みたいなことを言われたらしくて(笑)。あと、しゃべったことのない近所の人に『一体どうなっているんですか!?』とかも言われたりして、テレビって怖いなって思いました」と明かし、最後に仁(大沢)が言う「えっ?」というせりふに対しても「あれは、いたずらですね(笑)。ちょっと、何かを足したかった。狙いがあった訳じゃない。(世間からは)『おいおい、映画化か!?』みたいなことも言われていましたが…」と、謎に包まれていた詳細を明らかにした。