――約3カ月ぶりの「遺留捜査」の現場はいかがでしたか?
年一回シリーズに携わるのが通常の感覚なので、2018年11月のスペシャルから一つ季節が移ろっただけなのに、またすぐに「遺留捜査」の現場に戻ってこられているのが不思議、という気分でした。
こんなに頻繁に「遺留捜査」という作品に携われるということは、純粋にうれしく思います。
――今作の撮影は2018年の年末から1月ごろでしたが、これまでのシリーズで、冬のシーズンに糸村を演じることはなかったと思うのですが…。
おっしゃる通りです。冬の「遺留捜査」は初めてだったので、とても新鮮でした。特に、舞台となっている京都は、寒さも厳しくなるお土地柄なので、その京都の冬を糸村がどんなふうに過ごしているかには思いを巡らせました。
彼の移動手段は、一作目からかたくなに自転車なので、何か防寒着を一枚着てそのスタイルを貫き続けているのか、それともまた違った装いなのか、スタッフさんとお話をして、“冬の糸村像”を作り上げていきました。
――約8年間、糸村を演じてこられましたが、ご自身にとっての糸村とは?
隣に住んでいる人という感じです(笑)。声をかければ、すぐ出てきてくれるようなところに居を構えていて、撮影期間が空いたとしても「そろそろ参りましょうか」と呼びかければ、「はーい」って言って、ひょいと出てきてくれるような、そんな存在です。
――糸村というキャラクターに入るスイッチみたいなものはありますか?
それはありません。役を演じるとき、その人物の挙動やクセなど、そうしたものが明確になっていない時は、スイッチといえる何かを探らなければならないと思いますが、糸村に関しては考えやどういう行動をするかなど、彼の人となりが僕の中ではもう悩まなくてもいい存在になっているんです。
衣装を身に着ければ、その瞬間から糸村でいられます。今、別室に衣装をご用意いただければ糸村としてここに入ってくることも全然問題なくできるくらいです(笑)。
――糸村刑事が容疑者の動機や被害者の最後の思いを事件関係者に語るクライマックスの「3分」が本作の見どころの一つだと思うのですが…。
約8年間もシリーズやスペシャルをやってきて、今や「遺留捜査」の見どころってそこに限らずあるものになってきたような気がするんです。
例えば、科捜研での村木さん(甲本雅裕)とのシーンは言うに及びませんし、神崎さん(栗山千明)との二人のやりとりも、ただの捜査に向かう二人の刑事ではなく、糸村と神崎という二人のキャラクターのやりとりの中に、そこはかとない面白みが含まれていくようになってきました。
物語の自由度も相当広がりました。なので、むしろ“3分”だけに注力しないように気を付けています。もちろん「3分」のシーンに配慮すべき向き合い方はあると思うのですが。
例えば? 何でしょう……今思いつくのは、たくさんせりふを覚えなきゃいけないっていうことでしょうか(笑)。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)