<試写室>「僕の初恋をキミに捧ぐ」本当の“強さ”を彼が教えてくれた

2019/03/02 06:00 配信

ドラマ

美しく格好いい二人(C)テレビ朝日


独断と偏見のレビュー


諸事情もあるのであまり大きな声では言えないが、実はここまで今期トップクラスで次話を楽しみにしていた作品の一つ。原作も映画版も見ていなかったからこそ、この物語の結末がどうなるのか、どうやってそこに向かうのか、純粋に楽しませてもらった。

知らなかったからこそ、個人的にこのドラマで最も好きなキャラの“コウ様”こと鈴谷昴(宮沢)が脳死状態になるというのは本当にショッキング。優実センパイ(松井愛莉)と爽やかにイチャイチャする感じ、もっと見ていたかった。

前回の話だが、優実センパイにとってもようやく実った恋だったのに、あの電話のシーンは繰り返し何度見てもつら過ぎる…。主役を差し置いていきなりコウ様の話かよ、って感じではあるが、第1話の登場シーンで心奪われたんだから仕方あるまい。

そして最終回のせりふで、あまりにも大きなインパクトがあったのが、逞の「移植を受ける人にドナーが誰か知らせない理由がよく分かったよ…」というもの。

そりゃそうだ。あんな場面を見せられたら、与えられた権利とはいえ、気持ち的に受け入れがたいだろう。それも当事者の高校生が見るにはあまりにも酷な光景だ。

筆者のごく身近なところにもある臓器の移植を待っている人がいるので、否が応でも感情移入して見てしまうのだが、もし自分が逞と同じ状況だったら、たとえ助かると分かっていても、「拒否したい」と言い出すかもしれない。それくらい深く考えさせられるシーンだった。

それにしても、本当に逞は強い。普通だったら境遇を嘆いたり、藁にもすがる思いでもっと自分勝手な行動をしても許されるはずなのに、常に繭や両親、他の人のことを考えて行動しているのだから。

ケンカが強いとか、弁が立つとかじゃなくて、本当に強い人というのは彼のような“ハートが強い”人のことを言うんだろうな。

演じる野村も本当に最終回まで素晴らしい“静の演技”を見せてくれたし、個人的にはこれまで野村が演じた役で最も好きな役かもしれない。もう最終回というのは早過ぎる。もっと“野村逞”を見ていたかった。

常に逞を思いいちずに、健気に愛した繭も桜井だからこそ応援しがいがあったし、その他、ここぞというときの逞パパ・垣野内寛貴(児島一哉)にも感動させられた。

あとは何より繭パパ・種田穣(生瀬勝久)が本当に格好いい。奥様二人ももちろんだが、やはりおっさんとしてはパパ二人の演技にグッときた。

また、最終回は事前にニュースでも出しているが、結婚式のシーンがある。

逞のタキシード姿、繭のウエディングドレス姿も眼福極まりないが、見逃せないのはコウ様伝説のヒョウ柄ジャケットが律(佐藤寛太)に“引き継がれた”ところ。やはりコウ様の弟! バッチリ決まっているし、第1話のコウ様登場シーンがここで効いてくるとは。

漫画や小説など原作があるドラマだと気になるのは、やはり結末が“原作通り”なのかどうかということ。それを知った上で見ちゃったら興ざめするだろうから、触れないが、ドラマファンも原作ファンも映画ファンも、ここまできたら二人の恋と将来を応援しなきゃね。

最後までこのドラマを見て強く思ったのが、たった一度の人生なんだから後悔しないように全力で生きなきゃ駄目だということ、そして誰かをいちずに思うことの大切さ。

それはどれだけ時代が移り変わろうとも変わることはない。どれだけ自分が忙しかろうと、それを忘れたらあかんっちゅうことや。

いけね、変なところが祖母から引き継がれてもうたわ。

文=人見知りシャイボーイ