――これまでの「いだてん」の放送の中で、好きなシーンや回はどれでしたか?
えー僕はどの話も好きなので難しいんですけど、「これまでの大河のメソッドがまったく通用しない」っていう部分で言えば、第1回の後半と、第5回がメインで取り上げた羽田のオリンピック予選会のマラソンシーンですかね。
(脚本を読んだときは)映像としてどうやって構築していくんだろうって思ってたんです。
見てみたら、脚本・演出はもちろんですけど、今回の「いだてん」の力が全て集中して、ものすごく熱量が高まった現場でありお芝居であり編集であり、MAという音の枠をつける作業も、VFXのチームもいろんな仕事してると感じました。
――第1回の伏線も帰結しているシーンですし、中継のような画面で、マラソンの実況のようにナレーションが入るなどの演出も趣向が凝らされていましたよね。
今の視聴者は、ドラマだからとか、バラエティー、スポーツ中継だからこう見るみたいに、あんまり自分の頭の中で視聴の仕方をカテゴライズしていないような気がするんですよね。
だから、第5回みたいに、マラソンシーンがスポーツ中継みたいな場面作りになっていても、僕は違和感を感じなかったです。むしろ見やすかった。
当時のマラソンがどんなものかって、想像つかないじゃないですか。時代劇の合戦とか戦いだったら、「あー何家と何家が戦ってるのね」って状況は分かるけれども。
「日本人が参加したこともなくて、見たこともない“オリンピック”の予選でマラソン大会をやるんだ」って想像がつかないことだと思うので、まずは丁寧に、ちゃんと地図でコースを見せて、状況を説明しなきゃ伝わらないものだったと思うんです。
だから、すごく正解な描写だったと思いました。
――このドラマに関わったことで、スポーツやオリンピックに対する見方は変わりましたか?
僕はスポーツ中継とか、スポーツを見るのが好きなんです。特にサッカーは大好きで、国内、海外含め見に行ったことがありますし、自分でもやってました。
お祭り好きなんで、ロックフェスとかも大好きなんですけども、人が集まってわーってなってる環境に、文句なしにテンションが上がってしまうんです。だから、「いだてん」をやったからではなく、来年のオリンピックも楽しみにしております。
ただ、日本におけるオリンピックの歴史を初めて勉強させてもらったので、「これだけの人たちがやってくれたおかげ…!」っていう見方になると思います。
実際、今年の“箱根駅伝”とか見ながら、金栗さんのことを思って、目がうるうるしてましたからね(笑)。
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