――改めて、「ヤマト」の魅力はどこにあると思いますか?
小野大輔:普遍的なテーマを描いているなといつも思っています。歌が全てを説明してくれているので、「ヤマト」を知らない人も、イスカンダルに行って帰って来るお話だということは知っています。それは、日本人なら誰しもが知っている桃太郎や浦島太郎のような昔話の域ですよね。
その中に日本人が思う美しさや尊さ、男の子が見て血湧き肉躍るようなSF作品としてのエンターテインメント、好きなものが全部入っている気がします。だから、時代を経てこうやってまた新たに作られたとしても、今の時代に生きる人にも共感しながら楽しんでもらえる作品になっているんだと思います。
山寺宏一:おっしゃる通りですね。これから全部こうやって答えようかな(笑)。
小野:それはズルいですよ(笑)。
山寺:たぶん、一つの要素だけじゃこんなに長いことみんなに愛されていないと思うので、いろんなことが詰まっているのは間違いないです。その中でまず一つは、壮大であるということですね。さらに、壮大なだけじゃなくて、人々の琴線に触れる人間ドラマもしっかりと描かれています。
僕が中学1年生の時、小学生向けの作品が多かったので、もうアニメは卒業かなと思っていたら、初代の「宇宙戦艦ヤマト」の放送が始まったんですけど、これほど地球規模の危機を繰り返す作品があるのかと驚いて、どハマりしたことを覚えています。それが今や全宇宙の規模になっていますけどね(笑)。
絶対無理だという危機を何とかみんなで乗り越えるエンターテインメントの王道を、これだけの壮大さで体現してみせたアニメは「ヤマト」が初めてでした。オリジナルの意志をもとに、新しいスタッフたちがリスペクトしながら愛を持って、より豊かで新しい物語にして語り続けていますよね。
小野:本当にずっとピンチですよね(笑)。ピンチを脱しても、またピンチになりますから。
山寺:そう考えると大変だね(笑)。「2199」の時はもう少し息抜きの回があったように思うけど、「2202」はほとんどなかったんじゃない?
小野:そう言われるとそうですね。
山寺:今回はズォーダーとガトランティスがとんでもないからね。また、ズォーダーを演じていた手塚(秀彰)さんの声が怖いよね(笑)。
小野:ずっと勝てる気がしなかったですよ(笑)。
山寺:手塚さんご本人はすごく柔らかい方なのに、いざしゃべると怖くてね(笑)。
小野:そういう危機を一人の力じゃなくて、何とかしてみんなの力で乗り越えていくから見ている方も共感するし、この作品に魅力を感じるんだと思います。
――2年以上に渡る「2202」の最後の収録を終えた時は、どのようなお気持ちでしたか?
山寺:僕は途中から参加しているというのもあるので、これは小野くんが代表して答えます(笑)。
小野:みんなとてもすがすがしい顔をしていました。詳しくは言えないんですけど、とてもいい終わり方をしています。
第七章のあおり文句にもあるように、誰しもが想像できないようなラストを迎えています。ファンのみなさんは、「2202」はどうやって終わるのかといろいろな想像をしていると思います。もちろん僕らキャストも想像していたんですけど、その答えは、シリーズ構成の福井(晴敏)さんの頭の中にしかないので、とにかくやるだけだと思って臨んでいました。
そのラストは思った通りのものではないかもしれないですけど、ここまで関わり続けてきて良かったなと、僕は思えたんですね。それで、スタジオを見回してみると、みんながニコニコしていたんですよ。大きな役目を終えてホッとして、ドッと疲れているというよりは、明るくてすがすがしい表情をしていて。
僕はその光景を見られたことが、座長としてすごく幸せでした。長い旅を続けてきて良かったなと思いました。さすがに、もっと旅したいって人はいませんでしたけどね(笑)。
製作発表会の時に、福井さんが「希望のない物語は描きません」とおっしゃっていた通りだと思いました。これまですごくつらかったんですけど、このラストにたどり着けて良かったですね。見てくださる方にもそう思ってもらえればいいなと思います。
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