――お二人が役作りで気を付けた事をお聞かせください。
桜田:僕が演じた貴也は僕とは全く違う性格。だからこそ、話し方の温度感や態度など、「僕だったらこうしないだろうな」という方を敢えて意識して、見せるようにしていました。良い意味で、最後まで敢えて貴也を理解はしないようにもしていました。
川島:この作品は凪子の視点で物語が進んでいくので、ご覧になっている方は凪子として選択することになります。だから「葛藤」や「迷い」を意識して見せるようにしていました。ドラマではさまざまな分岐点が出てきますが、その分岐を選ぶ葛藤の先には、幾つかの選択肢があって、どちらも選ばれる可能性もあります。通常のドラマでは展開は一つで、結末も決まっていて、そこに向けた「迷い」はありますが、今回はどちらが選ばれてもおかしくない「迷い」なので、どちらにも寄せすぎずに迷う…という空気を作るように意識をしました。
あと、その悩みや葛藤の中にも、曖昧さに加えて、「優柔不断さ」も見せる事でより凪子らしさも見せられるようにもしました。凪子が悩むのは、三角関係や四角関係などで、これが本当の人生だったらとてもぜいたくな悩みなのですが(笑)、そうしたドキドキ感をご覧になっている方には楽しんで頂けたらと思っています。
――実際に撮影をへて、「音楽とドラマが融合した作品」を体感して、何か発見などはありましたか?
桜田:先ほど最初こそはイメージができなかったのですが、実際に出来上がった映像を見て、音楽のライブパートとドラマパートが融合していることに違和感がない事に驚きました。日頃の作品では音楽のかかわり方は主題歌や挿入歌が主になるかと思うので、今回のようにドラマの合間に歌唱の映像が入ってくるのはイメージが付かないかもしれません。
でも実際に見てみると、ライブパートもドラマパートも一つのものとして自然に見られるし、倉木さんの歌詞や楽曲などの世界観を受けてその後のドラマが進んでいくので、音楽を聴いて、歌詞を耳にして楽曲から気持ちを受け取ったその後に、ドラマパートを見る事で、より登場人物への気持ちへ入り込むことができるのでは…と思いました。
川島:ドラマを見ることで、より楽曲の歌詞が耳に入ってくるようになり、曲の聴き方や楽しみ方も変わってくると思います。これはこれまでに味わったことがない、不思議な感覚です。この作品に出会った事で、曲の捉え方や、倉木麻衣さんへの曲の聴き方や楽しみ方など、いろいろなものが広がった気がします。ドラマとしても、楽曲としても、いろいろな“新しい楽しみ方”に出会うことができる作品だと思います。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)