――初の長編ということで、どんなストーリーを予想されていましたか?
福山:6つ子のうちの誰かが子宝に恵まれない大富豪の家に拾われていって、ニートの状態で多大なる富と名声を手に入れるんです。それを他の5人にひけらかしに行き、悪態をつかれながらも1人になって寂しくなっているところを、みんなが迎えに行ってドンチャンドンチャン…というのが誰でも思いつく話だと思いながら想像していました。
でも、全く違いましたね(笑)。冒頭から最後のシーンまで通して、「藤田陽一監督と脚本の松原秀さんならこうするのか!」というものになっていました。
――その点においてはある意味予想通りだったと。
福山:元々、一筋縄なものにはならないというのは分かっていました。あの2人なら、映画を1回見て「あ、こういうものだね」と分かるものにもしないだろうなと。分かるようには作られているんですけれど、「あれ、もしかしてこれって…?」というものにもなるだろうなという予想でした。
実際に映像を見て、最初の数カットで「あ、そういう話なのね」「また難しいところに切り込んだなぁ」と思いましたし、ただただ面白かったですね。
――いろいろな世代に刺さる内容のように感じました。
福山:これは年齢によって違うと思うのですが、30代の人が見たら「いいなぁ…」と思うかもしれない。でも、リアルに10代の多感な時期の人が見ると、痛々しく感じることもあるんじゃないかなと。その落差を見事に現在と過去とで作っていただけたのは、TVアニメシリーズからパワーアップした部分ではないかと思います。
これを知ったうえでTVアニメシリーズを見ていただくと、また感じ方も違うんじゃないかな。後から外堀を埋めるような形にはなりますが、これも実際にあったことであり、ただそれが見えたことで見方が変わるだけ、新たに知るだけの話。無理なくつけ足されていると思います。
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