――他に、それぞれ演じる上で意識したことはありますか?
土屋:チャーリーを演じているヘイリー・スタインフェルドさんは、強さも弱さも愛情も伝わる声をしているんです。だから、ふさわしい声を出せるように…外に聞こえたら申し訳ないなと思いながら家の中でずっと練習しました(笑)。
最初はダラっと、音域を下の方で出すようにして。戦っているときの「キャー!」とかは、日常ではなかなか出ないんですよね…。だからもう、声出なくなってもいいやと思ってやりました。
志尊:とにかく役に寄り添って気持ちを体現しようと思いました。吹き替えに求められているのは、自分でキャラクターを形成していくことではなく、俳優さんのメッセージやエネルギーをそのままクリアに日本語で届けること。
感情や成長が分かりやすいように演じるより、画に合わせて寄り添うことで感情も高まって、成長したことが表現できる…という感覚で取り組みました。
土屋:洋画を見ていると、日本語でもその国の文化の空気やニュアンスが伝わってきますよね。それは声優さんの技術が素晴らしいからであって、すごい努力と技術が必要なんだと今回あらためて痛感しました。
テレビで音量を上げても聞こえない息遣いも、ブースのイヤホンでは聞こえるので、まさに“呼吸を合わせる”のが難しかったんですけど、途中から「ここでこう言おう」と演じるより、普通にしゃべる感覚になってきました。
志尊:分かります! 太鳳ちゃんの声がすごくお芝居をやりやすいテンポ感だったので、僕も救われました。
――それぞれお気に入りのキャラクターと注目ポイントを教えてください。
土屋:私はやっぱりバンブルビーの、チャーリーを守るモードになったときや、普段のおちゃめな感じとか…本当にいとおしくて、チャーリーと同じ気持ちになっちゃいます(笑)。
誰かを守ろうとする気持ちってすごくすてきだな、バンブルビーは理想の男の子だなって思います。キューンとかイジけられたらどんなイタズラも許したくなっちゃいますよね(笑)。
志尊:僕は、メモですね…! 本当に格好いいな、すてきだなと思います。好きです。どんな相手にもフラットで、接しやすくコミュケーションが取りやすい。意外とメモみたいな人が頼りになりますよね。
普段のドジな部分と、落ち込んでいる好きな人の前では男の顔で声を掛ける、そのスイッチみたいなのに注目しつつ…それと、バンブルビーの活躍もしっかり見てください(笑)。
土屋:(笑)。バンブルビーは最新CGでアクションもすごくて、技とか掛けちゃうんです。それもリアルに見えるから、本当に夢が詰まっているなと思います。
志尊:映画の「トランスフォーマー」シリーズは男のロマンが詰まった特撮ファンタジーなはずなのに、「バンブルビー」は特にリアリティーが融合して混在しているよね。
トランスフォーマーの中でもキュートでチャーミングなバンブルビーだからこそ、チャーリーと触れ合うことで、日常の風景がすごく見えてきて、SFのようでもあり実際に起こっていることにも感じられます。
土屋:うん…チャーリーは心の傷を隠しながら、ただ無為に日常を過ごして自分を見失っているけど、バンブルビーと出会ったことで大切な守りたいものがどんどん周りに増えて、それを見た周りも変わって…。
SFというより心の傷を乗り越えるドキュメンタリーなんじゃないかなと思うんです。
吹き替え練習で見るたび何度もチャーリーと一緒に落ち込んだけど、やっぱり物語からパワーをもらっていて。心の傷は結構暗く重いのに、こんなに前向きになれるんだって思いました。本当に元気になれる映画だと思います。
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