――初めて台本を読んだときの作品に対する印象はいかがですか?
これまで、原作の「明智作品」は読んだことはなかったのですが、今回は“現代版”ということで、だからこそ気負わずにいつも通り臨めたのかも知れません。
原作のあるなしで特別、自分の中で(演技や作品に対して)何か変わるということはないですが、初めて台本を読んだときは、「名探偵・明智小五郎」という面白いドラマに出会えたと感じましたし、シンプルに作品作りに集中できました。
――伊藤さん演じる小林の役どころについて教えてください。
サイバー捜査官として優秀な人物ではあるんですが、結構周りに振り回されてしまうタイプですね。
小林は仕事で嫌な思いをしたりすると、それに対して「ムカつく!」と感情を出すタイプなので、すごく人間味のある、自分の芯をきちんと持って犯罪者に向き合える人物です。
――“サイバー捜査官”という難しい役だと思いますが、役作りで意識した点はありますか?
役作りに当たって、専門用語などは調べた上で臨んでいますが、かなりマニアックな専門用語とかも出てくるんですよね。そこはもう“説明せりふ”として割り切っているところもありました(笑)。
あと、小林はせりふをすぐ“かむ”キャラクターなんですよ。
日常的に会話をしてても普通に、かんでしまったり、言葉がつっかかったりするとは思うんですけど、それを演技として、あえてかむというのは難しかったですね。
ただ、今までにない役柄のキャラクターを演じるのはすごく楽しかったし、“かむ”ということも突き詰めたいと思いました(笑)。
――いろいろな俳優さんが演じられてきた「小林」というキャラクターを演じる上で、伊藤さんのこだわりはありますか?
今回の小林芳雄というキャラクターは少年ではなく、現代版にアレンジされた青年という形で登場します。
小林は人の気持ちをすごく理解できる人物で、人に対して優しく接したり、純真な少年のような心を持っています。
言葉をすぐに“かむ”という部分も、(木村ひさし)監督なりの子供らしさを表現しているのかも知れませんし、見た目は大人なんですが、ある意味では原作の“小林少年”を踏襲するようなキャラクターになっている気がします。
少年の心というのは小林の魅力でもあって、演じるに当たってこだわった部分でもあります。
――その中で、ご自身との共通点や似ていると思う部分はありますか?
小林は犯罪者にはもちろんなんですけど、時には明智に対しても正義感を持って捜査を進めます。
共通しているというと少し違うかもしれませんが、そういった部分は少しでも似ていたいなと思いますね(笑)。
なかなか捉えどころの難しい人物ではあるんですが、実際演じてみると、すんなりキャラクターを受け入れて演じられたのは、どこか小林と自分が似ているところがあるのかもしれません。
――木村ひさし監督についてはどういった印象を持たれていますか?
全ての役に魂を注ぎこんでいるというのが木村監督の一番の魅力です。
それぞれの役に、ドラマの中では出てこないけど細かく設定が入っていたりとか、役に対する力の入れ方がすごくて、演じる側としては幸せですね。
もうずっと木村監督と一緒に仕事をしたいと思えるくらい、撮影現場が本当に楽しいです。
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