――ONEは実際、資金力も豊富なんですよね?
青木「それもありますし、第1回の旗揚げ大会でフィリピンの選手とか東南アジアの選手を観て、『あ、これはすぐ日本人いかれるな』って思ったんですよ。というのも、日本人が5000ドルもらうのと、フィリピン人が5000ドルもらうのと、ちょっと訳が違うんですよね。紙幣価値が違いますから。50万円もらって『よし、これで2、3カ月アルバイトしなくていいかな』っていう我々みたいな国と、『よし、1年これでいけるぞ』っていう国とじゃ、全然、頑張りが変わってくるじゃないですか。何としてでも勝ちたいから、勝負に行くべきときに突っ込んでくるし。リスクを取りますよね、彼らは」
北野「AbemaとONEが提携したことで、ONEからは日本人選手を多く使うよと言ってもらえて。僕たちが普段、生中継している団体のある程度のランクの選手が行くわけじゃないですか。でも、そういう選手があっさり負けてしまったり、雰囲気に飲まれて輝けないのを目撃するわけですよ。そういう中でサバイブしていくのがやっぱり青木真也だったりして、力を発揮できる人はできる、できない人はできないっていう厳然たる世界がそこにあるなって」
――なるほど。青木さんが今も闘い続けるモチベーションって、なんなんでしょうか?
青木「僕自身は今、格闘家人生が2周目だと思ってるんで、モチベーションは金とかベルトとかじゃないんですよね。じゃあ、何かといえば、『格闘技が好きだから』に尽きますね。あと、人生における潤いですよね。『格闘代理戦争』にしても、こんなに潤いをもらえたり、自分の感情を揺さぶられることって、ほかにないんで。試合自体は決してしたいものではないんですけど、ストレス発散になるんですよ。サウナと一緒ですよね。練習でストレスをずっと浴びるのは、サウナで熱くて『嫌だ、嫌だ』ってなって、水風呂に入るみたいなもんなんで(笑)。練習から試合までずっとサウナで、試合が終わって解放されるみたいな」
北野「今、相当溜めてますね、サウナを(笑)」
青木「そうですね(笑)。で、サウナ出たら、またすぐ練習するみたいな。その繰り返しなんで。2周目とはいえ、もちろん格闘技はまだまだ続けますし、もう1回、2回、『格闘代理戦争』やりたいですね」
北野「あ、嬉しいですね。やっぱり番組から出た選手が勝ったり負けたり、なかなか試合できなかったり、生き残ったり、既にいろいろ生まれ始めてるんで。3年、5年経ったら、人生模様もすごいことになってそうですよね。そして、それに対しても僕らは責任がありますし、青木さんはそれ以上に選手のことを考えていますし。AbemaTVの格闘チャンネルのプロデューサーとしては、この3年間で、以前よりも格闘技を流通させる仕掛け方や、たくさんのレッスンを得たと思っているので、これからはそれをもっと早い回転で回していくということがひとつ。あと、K-1、RISE、ONEといった、扱わせていただいている団体が、全部、お客さんがいっぱいになってスター選手が生まれなきゃいけないと思っているので、そこに対して責任を持ってやっていきたいですね」
取材・文=青柳直弥
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