WOWOW専属サッカー解説者の岡田武史氏が、母校の早稲田大学で特別講義「岡田ゼミ」を開催した。
このイベントは、WOWOW「スペインサッカー リーガ・エスパニョーラ」の特別サイトに連載されているコラム「岡田ノート」の特別版という位置づけで企画された。「岡田ノート」は、放送時の解説だけでは伝えきれない戦術論などを詳細につづったオリジナルコラム。この日の講義では、日本時間の11月30日(火)早朝に同局で生中継される「バルセロナ×レアル・マドリード」戦を踏まえ、両チームの戦術などを解説する形で進行した。両チームの対戦は“クラシコ”と呼ばれ、世界中の注目を集める伝統の一戦として知られている。
岡田氏は、サッカーだけでなく実社会にも通じるリーダーシップやマネジメントについて触れながら講義を展開し、「指導者ができることは意外と少ないんです。若い人たちが力を発揮できる環境を作ってあげることと、『頑張ってみないか』と問い掛けることぐらい。でも、それが大事なんだと思います」とコメント。また、世界的名将として知られ、レアルの指揮を執るジョゼ・モウリーニョ監督を例に挙げながら、「若い人たちにとっての“良い上司”とは、厳しい状況の時に自ら矢面に立ってくれる人。逆に成功している時には目立たないぐらいがいいんです。僕の場合、ワールドカップでうまくいった時に自ら前に出ることができませんでした。控えめだったんじゃなくて、出させてもらえなかっただけですけど(笑)」と話して学生たちの笑いを誘った。さらに、クラシコの勝敗については、同席した元日本サッカー協会技術委員長の小野剛氏が「2-1でバルサ(バルセロナ)が勝つと思います」と話す一方で、「僕はレアルが2-1で勝っちゃいそうな気がする。バルサに勝ってほしいんだけどね(笑)」と予想した。
講義終了後には、学生から「人生が変わった瞬間はいつですか?」との質問が。岡田氏は「奥さんと出会った時ですかね。僕は学生時代に結婚したので、本当にお金がなかったんです。選手として日本代表に選ばれた時にも、サラ金からお金を借りて準備をしたんですよ。引退して指導者になってからもいろんな壁にぶつかったけど、いつも妻は『いざとなったら、あの時に戻ればいいよ』と言ってくれました」と神妙な表情でコメント。学生の就職難が続く状況についても触れ、「皆さんはとても大変な時代を生きていると思います。その渦中にいる間は“これがチャンスだ!”とは思えないでしょうけど、あきらめずに頑張れば、いつか神様がご褒美をくれる。厳しい時代を過ごした分、ひょっとしたらすごい世代になれるかもしれませんよ」と若者たちにエールをおくっていた。
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