中島卓偉、つんく♂から継承の“跳ねる”16ビート「モー娘。のファンクな曲調はため息が出るほど素晴らしい」

2019/03/31 09:00 配信

音楽

ファーストにドライブさせたアレンジに


――原曲と卓偉バージョンを同時再生して聴いていたんですが、全体的にテンポが速いですね。「May Days For You」(真野恵里菜)は卓偉さんの声がどんどん先に。

そんな聴き方を(笑)。でも、曲のテンポは原曲の方が速いんですよ。音を前のめりにドライブさせた、ファーストに聴こえるアレンジだからかもしれないです。「大器晩成」はアンジュルムの方が全然速くて、そこからさらに上げると自分へのアレンジからかけ離れるので、むしろ遅くても形になるテンポで作っているんです。

――「May Days For You」のような王道ポップスにアレンジが大きいのは分かるんですが、ラテンビートの「いいんじゃない?」のような曲も大胆に変わっているのが新鮮でした。バックサウンドがシンプルになっていて、声の響きが前にくる感じで。

そうなんですよ、オケは薄いんです。音の多さは厚みになりますけど、奥行きや隙間が埋められて、歌が前にこなくなるんです。自分の曲の場合はなるべくオケを薄くするように心掛けていて、だから声が前に響いてきたというのは嬉しい言葉ですね。そういう意味では、「いいんじゃない?」は特に違うように聴こえる曲だと思います。

当時LoVendoЯはハードメタル的なアレンジが基本にされていたんですが、僕自身はハードロックやメタルを通ってきていないんです。だから、僕が最初に提出した段階ではもうちょっとポップだったんですよ。LoVendoЯ曲として世に出たものは、アレンジャーがLoVendoЯ用にメタルアレンジを着せたもので、僕はああいうアレンジは得意ではない。だったらダンスビートにしようって。自分の得意な方に捻っていったんです。

超絶ボーカルで盛り上がる卓偉のライブ


――原曲を聴き込んでいるほど楽しめるアルバムですね。どの曲もフレーズのアクセント、アップダウンが違っています。

ハロー!のファンは当然原曲を聴いてらっしゃると思うので、聴き比べてもほしいですし、これはこれでまったく別物だと思って楽しんでももらいたいです。鈴木愛理ちゃんやJuice=Juice、アンジュルム、(田中)れいなに橋本愛奈ちゃん。原曲の子たちがバッキングボーカルで参加してくれているのも聴きどころだと思います。

――今回の収録曲から、あえて“この1曲”を挙げるとしたらどの曲になりますか?

やはりロックンロールが好きなので、「どーだっていいの」(カントリー・ガールズ)は気に入ってますね。書き下ろしたときの話ですが、カントリー・ガールズでロカビリーな曲を出したいとなったとき、制作の方では「だったら卓偉に書かせろ」という雰囲気になったそうなんです。「ロカビリー、ロックだったら卓偉だろ」って。それを聞いたときは本当に光栄でした。それが世に出たときも嬉しかったし、今回もいいテイクが録れてすごく嬉しいです。

テイク的には、思い切ってジャズアレンジに振った「一期一会」(チャオ ベッラ チンクエッティ曲)も好きですね。やっぱり全部の曲が好きです(笑)。

――「My Days For You」は懐かしくなりませんでしたか?

それなんですが、ハロー!の子たちがバースデーやファンクラブイベントで歌ってくれているというのを、最近知ったんですよ。イベント司会をされている上々軍団から、「歌わない日はないよ」っていうくらいの話を聞いて。そんなに継承してくれてたんだというのが嬉しくてですね。だから、懐かしさというより、良い曲を提供できたんだなという再確認でした。