――ハロプロの音楽、特につんく♂さん曲ですが、1曲1曲にジャンルはあっても、トータルはミクスチャーじゃないですか。そこにご自分の曲を入れるというとき、何を意識されますか?
作曲者としては、つんく♂さんがやってきた道と言いますか、ジャンル的なものに沿おうとは考えていないんですよ。ディレクターからも「つんく♂さんのようにと考えなくていいから」と言葉をもらっていて。そもそも僕、つんく♂さんと同じには書けないですから。自分の最大限を発揮する。それだけですね。
――ハロプロっぽくも考えない?
それを考えられるのはつんく♂さんだけですよ。リスペクトも込めて、僕はそういう考えですね。もちろん、グループに合った曲を書くという意識はありますが、「ハロプロにはこれだ」みたいな考えは一切ないですね。
――つんく♂さんのリズム、16ビートへのこだわりは有名ですが、卓偉さんも16ビート曲だけの、8ビート曲だけのライブをされていて、そこのこだわりは強いですよね。提供先としてハロプロは相性抜群なのかと思えます。
ビートの相性はありますね。これまでつんく♂さんと曲の打ち合わせをさせてもらってきた中で、僕が勝手に継承させてもらっているのが16ビートなんですよ。歌の跳ね具合というやつです。モーニング娘。のファンクな曲調は、当時の音楽ファンにとってため息が出るほど素晴らしいアレンジだったんです。
自分の曲を書く場合も、提供する場合も、歌の跳ねは常に考えますね。つんく♂さんが口を酸っぱくしてリズムと16ビートを言い続けているのは、ハロプロの歌手にはそういう曲を、胸を張って歌えるようになってほしいという思いからだと思うんですよ。
――確認なんですが、“16ビートだから速い曲”ではないですよね?
速度の話じゃないですね。たとえばバラードって全部16ビートですよ。16と8の違いは、1小節を8つで分割するか、16で分割するかの話です。「タ、タ、タ、タ、タ、タ、タ、タ」で取れば8ビートだし、「タカタカタカタカタカタカタカタカ」で取れば16ビートに。だから、どんな曲も倍でリズムを取れば16ビートになるんですよ。16で取ると、裏拍(休符)が生きてくるので、跳ねだすんです。 “ロールする”っていう言い方をよくするんですけど、これができると歌がハッピーに聴こえて、聴いている人を楽しませるように持っていけるんですよ。
――ビートはカウントの数で、速いか遅いかはカウントの速度ですね。
そういうことです。だけど、それは歌っている彼女たちが理解していればいいことで、聴く皆さんが難しく捉えなくてもいいと思いますよ。楽しく聴いてもらえるのが一番で、それはつんく♂さんもそう思っているはずですよ。
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