カラー放送普及の転換点となった1964(昭和39)年、NHK技術研究所は、早くも次の時代を模索し始めていた。「高精細テレビ」の開発をスタートしたのだ。
このとき、新しい技術の開発はもちろん、人間の視覚性や心理の再研究も行っている。つまり、人がより見やすく、かつ好まれるテレビ画面の横と縦の比率を改めて研究したのだ。
その結果、より迫力のある映像が楽しめるのは、横と縦の比が5:3か6:3の画面、走査線は1100本程度が望ましいという結論に至った。
そして、1977(昭和52)年に横と縦の比を5:3、走査線を1125本とする暫定規格を決定し、メーカーの協力を得て、30インチの高精細ディスプレイを完成させた。これがハイビジョンテレビの前身だ。
1980年代後半、このデータをもとにハイビジョンテレビの国際基準を策定することになった。だが、米国映画テレビ技術者協会は、16:9の比率を提言する。「ビスタサイズ」と呼ばれる映画のサイズの1.85:1により近い比率に合わせようとしたのだ。
結局その要望に合わせて、ハイビジョンは16:9の比率に変更された。
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