本作の監督を務めたのは「TRICK」(2000年、テレビ朝日系)や「ATARU」(2012年、TBS系)を手掛けた木村ひさし。
木村作品の魅力と言えば、登場人物がとにかく“濃い”キャラクターたちと、随所に見られるオマージュや、くすっと笑える小ネタのオンパレードだろう。
第1夜の冒頭では、銀行の顧客データが「ファントム20」によりハッキングに遭い、サイバー捜査官の小林が捜査官たちを引き連れて、銀行のサーバールームへと向かう作品のつかみともいうべき緊迫したシーン。
そんな緊迫したシーンで、小林たちサイバー捜査官がエレベーターに乗ろうと待っているが開かず…「あっすいません。こっちです」と反対を案内されるという、シリアスの中に不意打ちのような笑いを入れ込んでくる木村監督の作風は、本作でも感じさせる。
他にも、明智が立ち上げた明智事務所のビルには「居酒屋・金田一」や「シャーロック」といった看板があったり、しまいには明智がどこかのカンフー映画で見たことがあるようなアクションを始めたりするのだ。
そんな映像を見ているうちに「次は何がくるんだ?」と期待すらしてしまったり、「このシーンには、もしかして何か仕掛けられている?」と画面のいたるところを気にし始めたりと、もうすっかりと“木村マジック”にはまってしまった自分がいた。
2回、3回と見たくなるような映像の工夫は、まさに木村監督の真骨頂そのものだと感じた。
見どころは小ネタの数々だけではない。最初にも述べた木村作品特有のキャラクターたちの“濃さ”だ。
小林の妻で、“とある秘密の経歴”をもつ岸井ゆきの演じる真由美や、そんな真由美とある接点を持つことで小林を忌み嫌う大倉孝二演じる桂正一などなど、明智や小林を取り巻くキャストたちがくせ者だらけで、詳しくはネタバレになりそうで言えないのがもどかしいが、「メインキャストって誰だっけ?」と感じさせるくらいの濃度の高いキャラクターがばんばんと登場する。
特に印象にあるのが、生瀬勝久演じる“黒電話”。本名も経歴も不明で、名前の通り黒電話などレアものの電話を集めるコレクターでもありすご腕のハッカーでもある。
そして、第1夜のラストで衝撃の事実が明かされるキーパーソンでもある。ぜひ、“黒電話”について注目して見てほしいところだ。
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