MANKAI STAGE『A3!』それぞれの旗揚げ公演を終えた今だからこそ語る“演出・松崎史也との縁” 松川伊助役:田口 涼インタビュー<1>

2019/04/05 18:00 配信

2.5次元

MANKAI STAGE『A3!』で支配人・松川伊助を演じる田口涼(C)Liber Entertainment Inc. All Rights Reserved. (C)MANKAI STAGE『A3!』製作委員会 2019

ひとりの劇団支配人と、ひとりの劇団員、そしてひとりの総監督。それが新生MANKAIカンパニーの始まりだった。

2019年3月24日、東京・銀河劇場にて「MANKAI STAGE『A3!』~AUTUMN & WINTER 2019~」公演が大千秋楽を迎えた。これをもって、春夏秋冬それぞれの組の劇団員がそろい、新生MANKAIカンパニーの旗揚げ公演が全て大盛況に終わった。

そんな今だからこそ、見届けてきた最初の人物の一人であるMANKAIカンパニー支配人・松川伊助役の田口 涼に話を聞いた。

役者を志したきっかけは「THE有頂天ホテル」


──最初にご自身が役者を志すことになったきっかけを教えてください。

田口 涼:高校生の頃に「THE有頂天ホテル」(2006年)という映画を観て、役者をやってみたいなと思って。でも思春期だから親には言えないじゃないですか(笑)。だから親には言わずに、役者になるために上京しようってなって、関東の大学を受験しました。でも大学生活が楽しくて役者の夢を一瞬忘れてしまうんですけど、就職活動をする時になって、やっぱり役者がやりたいなっていう気持ちが再燃して。そして当時の事務所に応募して、その時に(松崎)史也さんと出会いました。

──演出家の松崎史也さんと初めて会われたときのことは覚えていますか?

田口:7、8年前になるんですけど、若かったので今よりもうちょっと怖かったです(笑)。で、今思えば当たり前なんですけど、お芝居とか煌びやかなことがやっとできる!! って思って入ったのに、舞台はセリフもなくてきついし大変で。悔しいなって思うこともやっぱりたくさんあったんですけど、その時の史也さんが役者としても演出家としても素敵で、この人と長くやれたらいいなって思いましたね。初舞台が終わったときは泣きそうでした。当時は、初舞台の人が10人いたら次の舞台をやる人は2人いるかいないかっていうくらいだったので、そこから今まで縁が続いて、こうやって「エーステ」でご一緒できるのはうれしいですね。

MANKAI STAGE『A3!』で支配人・松川を演じ、観劇の楽しみ方が増えた


──演じられている松川伊助とご自身との共通点は何かありますか?

田口:舞台が好きっていうのは共通点ですね。僕は演技をするのももちろん好きなんですけど、舞台を観るのも好きなんですよ。好きな役者がどんな芝居をして成長しているのか、役者としてその人がどんな振り幅があるんだろうっていうのを発見するのが好きで。

MANKAIカンパニーの劇団員が出ている他の舞台作品を観に行くと、客演でお芝居をしている劇団員の舞台を観劇しに行く松川の気持ちになるんです。例えば、この間観に行った舞台に三好一成役の赤澤 燈くんが出ていたんですけど、「三好くん頑張ってるな」って思いながら舞台を観ることもできるのは、松川を演じた僕ならではの役得だなと思いました。舞台の楽しみ方が一つ増えて、いい役を頂いたなって思いましたね。

──松川を演じる上で気を付けていることは?

田口:まず自分の仕事を“いつも通りをいつも出せる状態”にしている、ということですかね。

松川は結構舞台に出ていることが多いので、何かが起きたときに松川がいつも通りにしていれば、そこから立ち直せるように。そういうきっちりした存在が一人いれば、みんなもっと自由にやれることも増えて、僕がフォローできることが増えるんじゃないかなと思っているんです。

みんなに寄り添うために、だからこそ自分の準備はゆっくりしっかり慎重にやるように心掛けています。

取材・文:岩永聡美