――村瀬さんは幾原監督作品の大ファンであることを公言していますが、どんなところが好きなのでしょうか。
村瀬歩:作品のテーマの扱い方です。テーマ自体は壮大ですが、そのテーマに対するアンサーが現実的で、そのアプローチの仕方が僕の心に刺さるんです。そして、その回答を見ていて楽しい形で届けてくれます。アニメーションや映像の方法論は分からないのですが、きっと幾原監督作品はそういう技巧がたっぷりと施されていると思うんです。シンプルなテーマを、いろいろな味付けで楽しませてくれるところが幾原作品の魅了ですね。
――実際に、一緒に仕事をしてみていかがでしたか。
村瀬:感覚が近いなと感じました。使っている言語が同じというのでしょうか。監督の言葉を聞いていると、言いたいことが確かに伝わってきて、スッと腑に落ちる。シンクロ率が高いなと自分では感じています。
堀江瞬:確かに、村瀬さんは誰よりも幾原監督のディレクションを理解していたように感じます。
――一番好きな作品を挙げるとしたら?
村瀬:「少女革命ウテナ」です。特に印象に残っている人物が若葉です。若葉はモブに近いのですが、割と深掘りされているキャラクター。そんな彼女が後半で「お前たちは私を見下しているんだ! 何の苦労もなく、持って生まれた力を誇って!」という主旨のセリフがあるのですが、主人公とモブの関係を表すメタ的なセリフであると同時に、本質を突いているなと感動しました。
――堀江さんは?
堀江:僕も「ウテナ」ですね。映像はもちろん、独特の言葉回しがすごく印象的で。「カシラ、カシラ、ご存じかしら?」とか、思わず口にしたくなるセリフが多いですよね。それが、見ている人の心をつかむポイントだと思います。
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