もちろんアクションだけではない。これまで直樹と新藤、志保と村瀬、青柳と矢沢と、定番のコンビで捜査をしていた特捜班は、寺尾本人のアイデアにより、今後は適宜別々のコンビを組んで捜査に挑むという。
組織の体制変更と言えば、筆者もこの4月から体制変更の波に飲み込まれた1人だ…。右も左も分からない若輩者の私には、来る新時代“令和”が大変恐ろしく思える(苦笑)。
というのは置いておいて、従来のコンビで捜査に臨んでいた直樹と新藤に小さな亀裂が。その亀裂が後に、物語を大きく揺るがす事態へと発展する。
あらすじにもあるが、今回直樹らが捜査するのは都内の高層ビルで発生した爆破テロ事件。SNSで集められた自殺志願者たちが事件に絡んでいるとにらむ直樹だが、地道な聞き込みにしびれを切らした新藤から「もっと効率的に捜査がしたい」と告げられる。
「効率のいい捜査なんてない」と直樹はたしなめるが、新藤は二人一組の原則を破り単独行動を取り、その結果直樹は絶体絶命のピンチに見舞われるのだ。
直樹&新藤のコンビ、ようやくいい感じにまとまってきた気がしてたんだけどな~と思っていた分、互いの正義がぶつかり合うシーンには少し考えさせられる部分があった。
スペシャルで新藤が「主任(井ノ原)と俺の名コンビに、敵はなしですね」と、キラ~ンとまばゆい笑顔を直樹に向けていた矢先のことだからだ。
山田の“新藤ぶり”というか、若手刑事ぶりもずいぶん様になってきたところだし、アクの強いベテランキャスト陣がそろう特捜班をいい意味でかき回しながら、個性を残しつつそれでいてしっかりと溶け込む山田の演技には目を見張るものがある。
また、病院で聞き込みしている直樹が、病室で犯人につながる手掛かりを見つける場面。新藤に「いいよ、俺が取るから」と優しく声を掛ける直樹の後ろ姿が、なんだか切なくて…。
そんな一連の流れを受けて宗方は「生きることを諦めたやつが、一番弱くて一番怖い」とこぼす。
その言葉の真意はOAで確かめるほかないが、今作では鈴木監督に加え豊島圭介監督も参加するなど、制作発表記者会見で井ノ原が語った通り、本作から本当の「特捜9」が始まるようだ。
ちなみに、鈴木監督と豊島監督は「ケータイ刑事 銭形シリーズ」で演出(豊島監督は脚本も担当)を手掛けていたこともあり、笑いあり涙あり事件ありの本作が、令和時代の“刑事ドラマ”の代名詞となる日もそう遠くないかもしれない。
文=創
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