誉田氏を、というよりフジテレビさんをなめていたのかもしれない。
コンプライアンスだかアライアンスだか知らないけど、最初のSPドラマや連ドラ放送時に比べ、映像描写に関してはとてつもなくやりにくい時代になっているので、メンチカツをお供にご飯食べながらでも余裕で見られるとタカをくくっていた。
うん、絶対駄目だよね。食事中に見ちゃあかんやつ。それくらい攻めた描写を“守って”くれている。
ホンダー(※アムラー的な)としては誉田作品を映像化するのなら、その情け容赦ない世界をどこまで忠実に見せられるかがカギだなと勝手に思っていたが、見終わった後、ストロベリーナイトはこうでないと、と脱帽した。
まず、タイトルバックからグッと心をつかまれた。初見のインパクトを楽しんでもらいたいので、これ以上は言わないが“目”が印象的なのは確か。
それにしても、こういうふうに先に別キャストで映像化されている作品の場合、どうしてもこのキャラは前の方が、この子は今の方が、などと比較してしまいがちだが、それって結構もったいないこと。
先入観でものごとを見てしまったら、どうしても新鮮味が薄れてしまうし、純粋に新しいドラマとして楽しめないだろう。
そんな中、主人公の玲子を演じる二階堂。この人の素晴らしいところは、眉間のしわ。あのきれいな顔のどこにしわを隠していたの?ってくらい、絶妙なラインのしわが事あるごとに顔を出す。
逆にそのしわこそが、男性社会で必死に生きて上を目指してきた女性の矜持を感じさせるし、この若さで班を率いる女性刑事の説得力にもなる。
また、あの声もこの役にはピッタリだと思う。絶妙に温度の低そうなあの声が、チームワークバッチリな班のリーダーでも、どこか完全に心を開いてないんじゃないか?と思わせる。ついでに、あの低い声で罵られたい。おっと、本音が。
そして亀梨。亀梨ファンが最も安心する亀梨がそこにはある、と言ってもいい。他ならぬ私が亀梨の演技のファンだから、安心した。菊田を亀梨が演じてくれて本当に良かった。
菊田といえば生真面目な性格で寡黙な一方、その内面では曲がったことが嫌いな正義感を持ち、熱いおとこ気を秘めた体育会系刑事…という設定だが、ものの見事に体現しており、まさにドンピシャなはまり役。前に誰が演じていたかなんて、きのう何食べたのか、くらい全然思い出せない。
ちなみに亀梨のソロでは初のドラマ主題歌となる「Rain」は、忘れたくとも忘れられない楽曲だったのでこちらもお忘れなく。
何だかんだキャストの話が中心になってしまうが、キャスト発表で一番驚いたガンテツ役の江口もむしろ違和感ないどころか新たなガンテツ像を見せてくれたし、若手巡査・大塚真二を演じる重岡大毅の「理想の部下ランキング3年連続ベスト3入り」的なキャラも母性本能をくすぐる。あ、母性本能はないか。
また、井岡博満を演じるキンコメ・今野浩喜はもはやベテラン俳優なみの安心感があるし、何より山口まゆの表情よ。
予告でもチラッと映っていたが、そこらの幽霊も対峙(たいじ)したら青ざめてしまいそうな血の気ゼロのオーラ。もう18歳になっていたのは驚きだが、この演技ができる18歳もなかなかいない。
初回2時間SPって聞くとつい間延びしてしまうイメージがあるが、この初回2時間SPは2時間だと言われなければ気付かないくらい時間を忘れて見入ってしまった。
それに一度一通り見てから、再度一から見直してみると、ここにも伏線が張られていたのか、この伏線はこうやって回収したのか、この時あいつはこういう表情をしていたのか…というのが分かり、すごくスッキリ&ドキッとする。
つまりリアルタイムで見るのはもちろん、もろもろ踏まえてもう一度見直してみると、より深く、また違った味わいが感じられるので、最低2回見ることをオススメしたい。
ひとまず、筆者は3度目の視聴にそなえてTS〇TA〇Aで旧作シリーズを借りてこよう。誰がどの役をやっていたか、あらためて知っておきたい。徹底比較だ。
って、結局自分が一番比べてんじゃん!という、“ラジハ”と同じオチをしておく。
歴史は繰り返す、ということで。
文=人見知りシャイボーイ
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