――テルコの心の揺れや気持ちの変化で苦労したシーンは?
マモちゃんから「山田さん、やらせて」って言われるシーンは監督と相談しながら撮影に臨みました。原作がすごく面白いんです。
でも、自分が面白いと感じたということは、同じ分だけプレッシャーもあって。こんなに面白くてすてきな原作があるということは、私が主人公のテルコを演じる時に一歩間違えたら台無しになってしまうんじゃないかなって不安になって。
だから、初めはものすごく原作にとらわれていたところがあったんです。でもこのシーンで、映画では私のテルコと成田凌くんのマモちゃんの温度でやらないと駄目だなって強く思ったし、そこであらためてこれは映画版「愛がなんだ」だという覚悟ができたような気がします。
私は“原作の目”や“監督の目”などのいろんな“目”を気にして役を作ろうとしていたけど、スタッフの皆さんが温かく見守ってくれていて、成田くんがマモちゃんとしてそのままそばにいてくれたので、みんなで一つの作品を作っていると強く感じることができた、そんな現場でした。
――そういえば、マモちゃんはずっとテルコのことを「山田さん」って呼んでいましたね。
そうなんですよ~。2人が初めて出会って自己紹介した時は「じゃあ、テルちゃんだね」って言ったのに、それからはテルコしか「マモちゃん」って呼んでいない。何か切ないですよね…。ちょっと、距離を取られました(笑)。
――劇中では、テルコ以外にもいろんなタイプの女性が出てきますけど、価値観や恋愛観が似ているな、共感できるなと思ったキャラクターはいますか?
う~ん、強いて挙げるなら、穂志(もえか)さんが演じたテルコの同僚かなぁ。2人の会話の中で「私、結婚するんですよね。まぁ、仕事は辞めないですけど」みたいなせりふがあるんですけど「それ、私もそう。もし結婚しても仕事辞めない」って思いました(笑)。
恋愛の形として、登場人物の誰かと何か重なる部分があるかと聞かれても、私はもっと普通かなって。みんな、すごく思いが強いから向かっていけるんですよね。テルコがそうだし、ナカハラ(若葉竜也)の葉子(深川麻衣)への思いも同じ。
マモちゃんだってすみれさん(江口のりこ)の気持ちを分かっているはずなのに、甲斐甲斐しくお世話をしたりするじゃないですか。
私の場合は、その気持ちの段階で行動には移さないと思うんですよ。でも、テルコたちはちゃんと「好きだ」と伝えられる。それは、格好いいなと思います。私がテルコと同じ状況だったら、心の中に芽生えた思いは全部消しちゃいます(笑)。
――その作業は時間がかかりますか?
そうですね、たぶん時間が必要だと思います。そもそも私は人をなかなか好きにならないタイプで。
「好きだ」ってなかなか言い出せないんだよなぁ…っていう相談をこの間、友達からされてびっくりしました。私も相談される側になったんだって(笑)。
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