楽天社員がダンス同好会を結成! 楽天ならではの社会人ダンサーとしてのあり方とは?

2019/04/17 10:30 配信

芸能一般

ダンスが世間一般に浸透し始めているこのご時世。今、注目してほしいダンスシーンがある。それは"社会人ダンサー"だ。企業に就職して社会人として働きながら、ダンス活動もするという新しいダンサーの形。

キッズダンスが盛り上がり、近年では高校ダンス部がメディアの注目をあびるなど、一定の世代が作り上げるダンスシーンが、一つの時代を作っている。今後さらに注目が高まるであろう社会人ダンサーに注目して取材を敢行した。

今回は、Eコマース、フィンテック、デジタルコンテンツ、通信など、グループで70以上のサービスを展開する『楽天株式会社』(以下:楽天)のダンス同好会にインタビュー。

同好会を運営する、AYAKAさん、MIOさん、ASKさん、REIKIさんに、社会人ダンサーと楽天ダンス同好会にまつわるエピソードを語ってもらった。

同好会を運営する4人を楽天のオフィスで取材


楽天ダンス同好会のメンバーが語る、社会人がダンスを続けることの嬉しさと大変さとは


――楽天ダンス同好会は、いつ頃できたのですか?

【AYAKA】 2018年の1月です。ダンスが好きな社員が集まって、仕事の合間に皆んなでダンスを楽しめる場を目指しています。立ち上げのきっかけは、2015年の冬頃で、たまたま仕事でダンス好きの社員と繋がる機会があって、いつかダンス同好会を作りたいねって話が盛り上がったんです。そこから、数年寝かせてました(笑)。2017年の夏頃にふと「いまこそ立ち上げよう」と決め、プロダンサーのSaUrIさんにも相談し、サポートして頂きながら、半年かけて立ち上げました。

AYAKAさん


――同好会を作るのにルールとかあるのですか?

【AYAKA】 はい、社内規定でルールが決まってます。例えば最初の申請に11名以上の賛同者が必要とか、全体のうち半数以上が他部署のメンバーで構成されることなどです。同好会立ち上げに当たっては、たくさんの人に声をかけ、多くの方のご協力をいただきました。ありがたいことに、今では約50人の同好会メンバーがいます。同好会の活動に対して会社から補助金をいただいているので、会社に貢献できるような活動も意識しています。

――そんなに人数が多いと、得意なダンスジャンルもバラバラじゃないですか? 練習とかはどうしているのですか?

MIOさん


【MIO】 確かにジャンルはバラバラですね。男女問わず多くの社員がレッスンに参加しますし、学生時代からダンスサークルで活躍していてプロ並みに上手な社員もいます。ジャンル的にはHIPHOPをベースにしている人が多いかもしれません。

【AYAKA】 活動は大きく二つあって、一つがレッスン運営、もう一つがイベント出演です。レッスンの方は、月に2、3回ほどプロダンサーの方をお呼びして、楽天社内のスタジオで90分のレッスンを行なっています。プロダンサーのSaUrIさんのお力添えもあって、非常に豪華なダンサーの先生方に来て頂いてます。今日はALMAのPInOさんです。会社にPInOさんがいらっしゃるなんて夢のようです(笑)。もう一方のイベント出演の方では、会社の同好会全体を運営してくれている総務部からお声がけをいただき、社内イベントの場で踊る機会をいただきました。同好会内で希望者を募るのですが、年末のイベントでは25名の大人数で踊りました。

ASKさん


【ASK】 レッスン参加が中心の人や、イベント出演時に力を発揮してくれるメンバーもいます。同好会活動の参加頻度や参加形態は業務状況に合わせて人それぞれです。レッスンに参加する方は比較的ダンス初心者の方が多い気がします。ダンス初心者の方はジャンルに拘らずいろいろなレッスンを受けている印象です。

PInOさんによるレッスンの様子


レッスンスタジオは本社ビルの中に併設


PInOさんがステップをレクチャー


――楽天さんは、社員の数も多いですし、グローバルなイメージもあるのですが、ダンス部の雰囲気はどんな感じですか?

【AYAKA】仲が良いと思います!外国籍のメンバーも多いので、和気あいあいと、オープンな感じでレッスンが進むことが多いです。

【MIO】 外国籍の方はノリがいいですよね(笑)。日本人にありがちな恥ずかしさのような感覚をそもそも持ち合わせていなくて開放的(笑)。

REIKIさん


【REIKI】国籍も中国、インド、フランス、ブルガリア、ロシアなど様々いらっしゃいますね。

【ASK】 1回レッスンで一緒になっただけでも、オフィスですれ違う時にとても親しげに「ハーイ♪」と挨拶してくれます。日本人同士だと会釈くらいで終わることが多いので、良い意味でのカルチャーギャップですね(笑)。

【AYAKA】楽天では、レッスン中にフリー(即興)で踊る時間が毎回盛り上がるのも面白いですよね。特に外国籍の人は、ダンスが初めての人も即興を楽しんで、オープンに自分を表現していて、すごく素敵だなと。

――企業だと上司や部下の関係もありますが、活動に影響はあったりしますか?

【MIO】 そもそも、会社自体のカルチャーとして上下関係があまりないフラットな環境なので、その心配はないですね。中には同じ部署の後輩を連れて来る方もいますが、そこは良い意味での上下関係があるかもしれないです(笑)。

【ASK】 それは個別問題ですね(笑)。

【MIO】 そうやって仲間が増えていくのは嬉しいことですよね。。趣味の場なので、役職の壁なんかも全くないですし。

――ダンス同好会で活動する上で、良かったことはありますか?

【AYAKA】ダンスという共通の趣味を通じて、社内のつながりが広がっていくのが嬉しいですよね。いろんな部署の人と知り合うことができました!

【REIKI】会社内に同好会のポスター貼っていますが、社内からかなりの反応をもらえました。社内ダンサーやダンスに興味がある方の人数であったり、ニーズを知ることができました。結果として普段の仕事では関われない、横の繋がりができるチャンスになりましたね。

【ASK】 私の場合、人見知りなこともあり、直接業務で関わらない限り、会社で新しい人間関係を築くのはなかなか難しくて。。。職種は人事なのですが、自分の管掌組織の社員がダンス同好会にいたので一気に親しくなりました。同好会での出会いのお陰で現場(事業部)をより近く感じることができ、現場の社員の生の声も聞けるようになったので、仕事もやりやすくなりました。

――コミュニケーションの幅が広がったのですね。逆に大変だったことはありますか?

【全員】 AYAKAさんが大変(笑)。

【AYAKA】 たしかに…事務処理は本当に多いですね(笑)。会社から活動費を頂いているのもあって、そこはきちんと運営報告をしないといけないので、しっかりやっています。

【MIO】 いっぽうで、会社から活動費を頂けるってすごくありがたいことですよね。私は普段中途採用の仕事をしていますが、その中で、同好会に興味を持った方が実際に入社してくれるケースもあります。大変なことはありますが、この環境に感謝してますし、会社に還元できたらいいなと思っています。

――まだ、同好会ができてから1年くらいですし、慣れてない部分もありますよね。約1年活動してきてどうでしたか?

【AYAKA】 年末の納会で同好会としてダンス作品を披露したのが一番のニュースです。納会とは、総務部が主催する大忘年会イベントで、弊社代表の三木谷(浩史)や著名人をはじめ、およそ2000人が集まる会。なので、プレッシャーを感じてました(笑)。仕事も忙しいメンバーたちなので、なかなかみんなで集まれないとなると、練習回数を絞っていかに効率よくやるかを考えたり、映像制作もセットでやらなくてはいけなかったりと、やることが盛り沢山で、いま振り返っても色々なことが印象に残っています。この納会でもダンサーのSaUrIさんにご協力いただきました。

同好会立ち上げに携わったSaUrIさん


――仕事もありますし、ダンスジャンルもバラバラだからなおさら大変でしたよね。

【AYAKA】 はい(笑)弊社の納会は毎年テーマが決められていて、"ONE"だったんです。テーマに沿った作品を、ダンサーではない観客向けに作るということ、さらに社会人だからこその表現のあり方を考えた結果、ストリート色を前面に出しすぎないほうがよいのではと考え、その方向で内容を練り始めました。一方で、メンバーの得意ジャンルをどう生かすかを考えたり、各自の満足度やモチベーションをできる限りケアしたいとも思っていたので(笑)。本当にたくさん悩んで試行錯誤しながら作品をつくりました。

【ASK】 ダンス同好会の発表が、エグゼビションとしての位置づけだったことも大変だった理由の1つです。すでに新入社員たちがグループに分かれたダンスコンペティションを予定していたので、私たちは楽天ダンス同好会ならではの作品作りを目指すことにしました。ダンス初心者からベテランまで多様なメンバーで構成される同好会だからこそ出来ること、全員で協力すればこんなに良いものを作れるということを体現しよう!と、自らハードルを上げていたのでプレッシャーがすごかったです。

ダンスで会社を盛り上げる存在に! 楽天ダンス同好会の今後は?


PInOさんとダンス同好会のメンバー


――いろいろなプレッシャーや制限がある中で、ダンス同好会一丸となって乗り切ったのですね。今後、楽天ダンス同好会でやりたいことはありますか?

【AYAKA】 今年はもっと他企業の方々とつながりを作って、外に活動を広げていきたいですね。まだ1年なので、みんなでもっと一緒に作品を作れたらいいなとも思っています。

――楽天さんといえば、楽天の公式キャラクターの"お買いものパンダ"が踊っているCMが印象に残っています。自社コンテンツを皆さんでPRするのもいつかはありそうですか?

【AYAKA】 実現できたら面白いですよね(!!!)。

【ASK】 まだ、お買いものパンダとの共演の話はきていないです(笑)。でも、採用以外にも、各種サービスのPRにもダンスで関われたら嬉しいですね。

【MIO】 やはり、ダンスを通じて何か価値を創りたいという想いで活動をしているので、そうなっていけたら面白いと思います。

――これから活動をしていく上で、社会人ダンサー向けのイベントやバトルコンテストがあったら出てみたいですか?

【AYAKA】前向きに検討していきたいです。昨年の経験から、ジャンル別で参加できるイベントがあるとより参加ハードルが下がるかなと思います(笑)。また企業対抗も良いですが、企業連合のイベントも楽しそうですね。

【REIKI】 バトルやコンテストでバチバチ競うより、他の企業ではダンスに関してどんな取り組みをしているか知りたいですね。その流れで他の企業の方々と交流できる機会が生まれればうれしいです。

【MIO】 いまの私たちは、いわゆる実業団のような闘争心はそれほど持ち合わせていないんです(笑)。

【ASK】 どちらかというと、社会人ダンサー同士一緒に盛り上げていきましょうっていう気持ちの方が強いです。



――最後に、楽天ダンス同好会を含めて、社会人ダンスシーンがどのようになってほしいか理想を教えてください。

【ASK】 あくまでも社会人ダンサーとしての一個人の意見ですが、私は「ダンスか仕事か」ではなく、「ダンスも仕事も」の推進派です。ダンスと仕事がWIN×WINの関係になるのが理想です。今のところ、同好会を通じて社内人脈が広がったという“あるある話”に留まっているので、今後はダンスを通じて企業活動・経済活動に直接的に貢献出来たら嬉しいです。同好会の活動が会社のPRに活用されたり、同好会の活動を通じて新しいビジネスが生まれたり・・・個人的にはそういうモチベーションで社会人ダンサーを続けています。

【MIO】 楽天ダンス同好会として今後は外部のショーやイベントにも出ていきたいと思っています。そして、同じように活動する他企業との相乗効果で出せるエネルギーって無限な気がしていて、いずれキッズにも負けないぐらいのマーケットができあがったら、と思うとワクワクしますね。人事という立場からすると、今後、例えば新卒で「ダンス同好会での先輩たちの活躍を見て入社しました」という人が出てきたら嬉しいです。企業×ダンスでこうした良い循環を生み出していくというのもひとつの理想ですね。

(文●のざたつ 撮影●松澤あきえ)

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