―――「ビリー・リンの永遠の一日」は日本で劇場公開がされていない作品ですが、ピックアップされた理由はあるのでしょうか?
この映画は監督のアン・リーが1秒に120フレームという超高精細映像を実現する新技術を取り入れた作品なんです。アメリカで最大のイベント、スーパーボウルの現場の臨場感を出すために採用したんでしょう。そのシーンを4Kならではの高精細な画質で見事に再現しているという意味で是非とも観てほしいですね。
4K・大画面・迫力重視というところでいうと、「ダンケルク」は見てほしいかな。クリストファー・ノーラン監督の作品は映画ファン以外には難しいものが多いけど、「ダンケルク」は分かりやすくてオススメ。実際の戦闘機を使ったり、爆破シーンもガチなので、4K向きですね。
■ ビリー・リンの永遠の一日:アン・リー監督が、アカデミー賞監督賞を受賞した「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」から4年ぶりに発表した作品。イラク戦争で味方を助けるため、危険を顧みずに飛び交う銃弾の中に身を投じたビリー・リン。その雄姿が偶然ニュースにとりあげられたことで、国の英雄になった彼とそのチームは、一時帰国の間に全米凱旋ツアーに駆り出される。スーパーボールのハーフタイムイベントに迎えられたビリーは、大歓声の中、戦地を回想する…。
■ダンケルク:第二次世界大戦時、史上最大の撤退作戦ダンケルクでの戦いをクリストファー・ノーランが映画化した作品。ドイツ敵軍による陸海空3方向からの猛攻撃が押し寄せる中、40万の兵士たちは生きて帰ることができるのか――細部まで作り込まれたスタイリッシュな映像美に注目。
―――残りの2作品はNetflixのオリジナル作品ですね。 Netflixオリジナル作品を挙げていただいた理由はありますか?
はい、Netflixのオリジナル映画は、旬の監督や俳優が使われていることが多いですし、社会問題を絡めて、観た人が自分の身になって考えることができる良作がたくさん。今のような映像技術がなかった時代にドラマで勝負していた時代の映画を思い出させてくれます。その意味でいうと、「オクジャ」と「7月22日」は完全に社会派映画。「オクジャ」は飽食の時代を揶揄した社会問題系作品なんですけど、圧倒的なリアリティがとてもよかった。「7月22日」はいかにドキュメンタリーっぽく見せるかという、ポール・グリーングラス監督の撮った映像が印象的でした。
余談ですが「7月22日」と先に挙げた「ダンケルク」はリアルを追求した作品なのに撮り方が対局。完璧に計算したうえで撮ってつないでいるのがクリストファー・ノーランで、手ブレも辞さない現場主義風に見せるのがポール・グリーングラス。これを比較するのも面白いんじゃないですか。
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