日本映画の歴史において昭和を"黄金時代"とすれば平成は何の時代と呼ばれるだろうか。新元号"令和"を迎え、平成に作られた日本の実写映画を「興行収入」「世界的映画賞の受賞作」「撮影技術」の3つの視点から振り返ってみたい。
平成を通じての邦画実写歴代1位となったのは『踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』(平成15年)の興行収入173.5億円で、日本映画史に残る大ヒット。この年までは興収10億円を超える邦画は年間で10本前後だったが、平成11年以降は毎年20本を超えるようになり、平成28年には32本もの邦画が10億円をクリアしている。
『踊る大捜査線』シリーズを筆頭に平成年代で多くなったのが人気TVドラマの劇場版で、『ガリレオ』の劇場版『容疑者Ⅹの献身』(平成20年●興収49.2億円)、『相棒 -劇場版- 絶体絶命!42.195km 東京ビッグシティマラソン』(平成20年●44.4億円)、『HERO』(平成19年●81.5億円、平成27年●46.7億円)といった新たな事件を描く作品もあるが、『花より男子ファイナル』(平成20年●77.5億円)や『ROOKIES -卒業-』(平成21年●85.5億円)のように、人気ドラマは劇場版で完結するのが一つのスタイルとなっていった。
また『劇場版コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命-』(平成30年)のように劇場版ならではのスケールアップした作品が話題を呼んだ。同作は平成の実写邦画2位の興収93億円の大ヒットを記録している。
昭和の時代にも海外の映画祭で受賞した名匠たちがいたが、平成の時代も負けてはいない。滝田洋二郎監督の『おくりびと』(平成20年)が稲垣浩監督の『宮本武蔵』('54)以来となる米国アカデミー賞外国語映画賞('56年までは名誉賞)を受賞し、大きな話題となったのも記憶に新しい。
海外、特にフランスで高い評価を得ているのが北野武監督で、『HANA-BI』(平成9年)がヴェネチア国際映画祭金獅子賞やニューヨーク映画祭国際映画賞ほかを、『座頭市』(平成15年)がヴェネチア国際映画祭銀獅子賞やトロント国際映画祭観客賞など十数の賞を受賞している。
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