今回、古田さんと共演するに当たって僕からお願いしていたのは、殴るシーンで殴るふりはいらないということ。古田さんに殴られる狛江が、僕が視聴者だったら見たいと思ったので、思いっきりいってくださいとお伝えしました。
古田さんって普段全然褒めないんですけど、唯一褒められたことがあるのは、数年前の舞台で、僕がよくぶたれるシーンがあって、お客さんも笑っていたんですよ。そうしたら古田さんが「普通、あんなに年上の男が年下のおまえを殴っていたら、痛々しくて笑えないはずなのにお前は笑える。お前は殴られて笑われる、その才能はあるな」と。唯一褒められたのがそこでした。
ですから、ちゃんと共演した時にそこだけは生かそうと思って、監督に「古田さんが僕を殴るシーンは結構入れてください」とお願いしました。そこでみんなが面白くなってもらえればいいなと。皆さんにはまず、古田さんが殴るムロを楽しみにしていただきたいです。
ムロさんと話し合ったようで、古田さんはのっけから素手でバンバンとビンタを張ります。殴られたムロさんは、バンバンふっ飛んでいきます。その度に現場では笑いが起き、レベルの高いビンタシーンになりました。
古田さんはまるで昭和のスターのような破天荒なお方で、規則でがんじがらめの時代には、いささかはみ出ている役者さんです。しかし、ビンタのたびに「大丈夫?」と耳元で言うのも僕は見逃しません。破天荒な一方で、とても優しい役者さんです。
そんな古田さんが、時代からはみ出た親分を演じるのですから、面白くないわけがありません。古田さん演じる親分が、時代の先端をゆく広告マン・狛江と出会い、いつしか相棒となっていくドタバタコメディーです。「蒲田行進曲」や、「セーラー服と機関銃」のような1980年代の日本映画のイメージで本作に挑みました。古田さんとムロさん、最高に上手な2人の俳優が最上の喜劇にしてくれました。
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