――ですよね。働き始めるとそこは...ね。
小沢「でもね、何も決めないで行くのはやってる。例えば(お笑いコンビ、チュートリアルの)徳井(義実)くんは、『今日は天気がいいから××しよう』と言っても付き合ってくれる。だから徳井くんとの旅はいいんだよね。一番ヤなのは『せっかくここ来たんだからこれ観なきゃ』『これ食べなきゃ』ってなること。だから映画のこのセリフにもすごい共感した。やっぱ拘束されたくないよね。自由でいたい」
――じゃあ、小沢さんにとってのベスト旅は少人数かひとり?
小沢「あ、そこ問題ありなんだわ。俺はひとりだと何もできないのよ。税関、通れないし。何言ってるか分からないし(笑)。ま、日本だったらどこへでも行けるけどね。って、何の話?(笑)。あとザンが『もっと私にパンクして』って言葉の意味が分からずに使うところとかも可愛かったなあ。偉そうに言っちゃうけど、別に映画の楽しみ方って人それぞれだと思うから、そういう細かい部分が面白かったから好きでもいいと思うんだ。だからザ・ダムドがかかっただけで、音楽を聞くだけでも俺にとってこれはいい映画だから」
――映画の楽しみ方は千差万別だと。あとザン役のエル・ファニングが可愛いですよね。
小沢「へぇ。俺も可愛いと思ったけど、でも誰もが可愛いと思うタイプじゃなくバンビっぽいよね。そういや、パンクとバンビってつながり深いんだよ。セックス・ピストルズが『誰がバンビを殺したか(Who Killed Bambi) 』ってパンクの歌を作ってるからさ」
――ちなみにエル・ファニングは『SUPER8/スーパーエイト』('11)では、エイリアンと遭遇する、本作とは真逆の役をやってますよね。そういう意味でも面白い。
小沢「あ、それ書いといてよ。そういう知識、大事。俺は観てて、サエない中年男たちが12軒のハシゴ酒をするうちに宇宙人と会う『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』('13)を思い出した。あれもフザけてるけどいい映画だよね」
――第2回連載で取り上げた『ベイビー・ドライバー』('17)と同じエドガー・ライト監督の作品です。
小沢「そうなんだ。それも書いといて(笑)。で、『パーティで女の子に話しかけるには』に話を戻すと、これもフザけてるけど実は最後は泣けるじゃん。あ、ここからネタバレになるけど」
※編集部注
ここから先はネタバレを含みますのでご注意ください。
小沢「最後に90年代に話が飛んで成功した主人公の話になるでしょ。あれなんか安達哲の漫画『さくらの唄』を思い出した。エロと青春の鬱屈感は『さくらの唄』にもあるけど、この映画もそうだし、でもなんかその先の未来が見える瞬間に泣けるよね。とにかくパンクなんだよなあ、別にパンクって暴れ回るだけがパンクじゃないからね」
――ほかにも映画観ていて共感された部分は?
小沢「ザンが脇を見せるシーンがあるんだよね。大きく脇を見せて、主人公の少年が触るんだけど、それ観て『あ、この監督、脇フェチだな』って思った。実は俺も脇好きなんだよね...って何の話? 何のカミングアウト? とにかくさ、俺はこの映画が好きなんだよね。明確な理由を語るのは難しいけど、好きなものは好きなんだから仕方ないでしょ。万人向けではないけれど、好きな人には堪らない。仲の良い友達には勧めたい。そういう映画があってもいいんじゃない?」
取材・文=横森文
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