――皆川はどこか、一昔前の刑事の雰囲気を漂わせている気がします。
昭和の雰囲気は出したかったです。皆川の自宅の場面をクランクインしてから早い段階で撮ったんですが、ロケ先がまさに昭和といった佇まいの日本家屋で、設定として親御さんの家を継いだのかと思ったんです。
そこで、子供はいないけれど奥さんと古いスタイルの生活をしていることにしました。この作品は、藤ヶ谷くんが主演なだけに若い方もたくさん見てくださっていると思います。今の時代、皆川ぐらいの年齢ならあんな老けてはいないでしょうが、作品の“重石”になるべく、厚みのある演技を心掛けています。
――妻のさつきを、高橋さんとは長くご一緒してきた櫻井淳子さんが演じています。気心が知れている方と思いますが。
櫻井さんとは15年ほどシリーズもので一緒でしたが、コントのようなやり取りばかりで、“普通の芝居”を2人でやったことがなかったのでちょっと不思議な感覚でした。
今回の夫婦役は 「絶対狙ったキャスティングでしょ」と僕も笑ってしまいましたね(笑)。
――今後、視聴者の皆さんに皆川のどんなところを見ていただきたいですか?
これからどんどんと皆川の心情が明らかになっていきます。その心情のあり方が一番の見どころでしょうか。皆川をすごく楽しんで演じています。新境地といえる役で、「こんな芝居もできるんだ」という発見も多いので。高橋克典としても新たな一面を出せていたらいいですね。
――藤ヶ谷さんとここまで共演してきていかがですか?
藤ヶ谷くんはアイドルとしての顔を持っていて、ものすごい人数のファンの皆さんと向き合っているだけに、自分の魅力というのをしっかり分かっていると思います。自分の役割とか、空気感の出し方とかいうものを。
この時間だからこそ藤ヶ谷くんのサービスショットも満載。昔、こんなこと自分もやったなと思ってます(笑)。この話は圭吾も勇吾も、それに皆川や赤城(渡辺大)も皆がそれぞれの“色”を持っていなくてはいけなくて、その色が混ざり合ってはいけないと思っています。
常に何かがうごめいていないと、物語として単調になってしまうと思うんです。藤ヶ谷くんもそこのところをちゃんと理解していると思います。まあ、いろいろな面で今回は大変でしょう。
共に苦しみを抱えた二役で、僕もだんだん圭吾と勇吾として接しているのか、藤ヶ谷くん本人と接しているのか分からなくなってしまって。でも、それも面白いと思うんですよ。
――圭吾と勇吾は顔こそ同じですが、性格は正反対です。高橋さんにも周りの人が驚くような一面ってありますか?
最近、怖い人だと思われているらしくて。それは自分の中では意外ですね。演じている役も貫禄があるのが増えてきたので、近寄りがたいと思われてしまっているのかも。本当は優しいんですよ(笑)。
――皆川を“○○な男”で表現するとしたら?
人間らしい男、でしょうか。このドラマには、分かりやすい人物って誰一人いません。みんな表と裏では抱いている感情が違ったり、混沌としたものを抱えていたり。
一瞬、垣間見せる横顔で紡がれていく物語です。そもそも人って、家族ですらその人の全てを理解することはできません。どんなに向き合っても、当人しか分からないものがあるから。
それが時には温かったり、寂しかったり、冷たかったり、切なかったり、そして色っぽかったり。「ミラー・ツインズ」に出てくる人々って、誰もが愛おしくて、皆に孤独感が漂っている。短絡的な芝居にならないよう、皆川の心の機微を最後までしっかり表現したいですね。
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