アカデミー賞の常連として知られる名優デンゼル・ワシントンは、演技派としての評価と映画スターという看板を両立させてきた。映画界でブレイクするきっかけになったのは、南アフリカの人種差別問題を描いた『遠い夜明け』('87)で実在の革命家を演じたこと。その後は、冤罪で長年投獄された男に扮した『ザ・ハリケーン』('99)のような実話もので活躍する一方、潜水艦アクション『クリムゾン・タイド』('95)、ジュリア・ロバーツ共演のサスペンス『ペリカン文書』('93)などエンタメ系作品にも進出した。
付いて回っていた真面目な優等生的イメージを打ち破ったのが、第74回アカデミー賞で主演男優賞にも輝いた『トレーニング デイ』('01)の悪徳刑事役。以降、『イコライザー』('14)、『イコライザー2』('18)では“怒らせたら絶対にダメ”な殺し屋役。『フライト』('12)ではアル中から抜け出せない旅客機パイロット役と、白黒が曖昧な役を見事に演じている。
第90回アカデミー賞主演男優賞候補になった『ローマンという名の男 信念の行方』('17)では体重を18kg増量して生真面目な弁護士に扮した。さすが演技派、そして映画スター。最もバランスがいい映画スターと言えるのではないか。
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