「オーディションでは水谷監督作品とは知らなかった」中山麻聖が水谷豊監督と作り上げた主人公の“器”<Interview>

2019/05/17 19:30 配信

映画 インタビュー

スタイル抜群な中山麻聖撮影=新妻和久


さまざまな視点から見ることで作品の魅力が増大


ーー完成したフィルムをご覧になり、改めて作品からどんなことを感じましたか?

秀一と輝という加害者側の二人を主軸としながらも、被害者の遺族や刑事たちまで描かれた群像劇でもあるので、誰に感情移入をするかで印象がすごく変わる作品だと思います。最初は先入観なく見ていただき、次はまた違う誰か、例えば逆の立場からの視点でご覧いただくと、この作品の魅力が最大限に伝わるのかなと思います。僕もすでに10回ほど観ていますが、まだまだ新しい発見がありますから。

ーー「轢き逃げ」は非現実のようでいて、じつは誰にでも可能性のある出来事ですからね。

本当にそうですよね。僕もプライベートで車を運転をしますけど、撮影が終わった後は、怖くてしばらくはハンドルが握れませんでした。それにもう一つ、事件を通じてそれまで隠れていた人間関係の裏側が明らかになっていくのも印象的で、自分の人間関係を見つめ直す良いきっかけにもなりました。色々なテーマが詰まった作品ですね。

ーーちなみにお父様(三田村邦彦)も劇場に観に行かれるようですね。

そうなんですよ。撮影後、父が別の現場でたまたま水谷監督に会って挨拶をしてくれたみたいなんですけど、監督から「(演技が)グーだったから、ぜひ観てね!」と言われたと(笑)。

ーーでは、感想を聞くのが楽しみですね。

そうですね。それに父には娘もいますから、事件を起こした息子の父親だけではなく、娘を失った父親にも共感できると思うんです。父がどちらの視点で作品を観たのか、それも聞いてみたいです。

ーー普段からお父様とはお芝居の話などはされますか?

こちらから聞かない限りは一切しないです。聞くところによると、父は藤田まことさんから「役者が自分から芝居を語るのはありえない」と教わったことがあり、今でもそれを守っているらしいです。でも今回はお酒でも飲みながら、僕の芝居がどうだったかも含めて、いろいろと聞いてみたいなと思っています。

父親ゆずりの目力も魅力の中山麻聖撮影=新妻和久


取材・文=岡本大介

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