――今回、演じた主人公の静香は催眠術をかけられたことで、音楽を聴くとカラダが勝手に動いてしまうという設定ですが、最初に企画を聞いた時の感想は?
日本では、珍しいミュージカル映画で矢口監督のオリジナル脚本ということで、多くの方が期待を寄せている作品だったので、私に主人公なんていう大役はできないって思いました。
だから、不安の方が大きくて、監督の世界観とミュージカルというジャンルを自分なりに頑張って解釈しようとしても何が正解なのか分からなかったです。
――そもそもミュージカルに興味はあったんですか?
私は、見ているだけで楽しめるような海外のミュージカル映画が大好きなんです。
ただ、それを自分がやるのかと思ったら、ちょっとビビってしまいました(笑)。
――どんなミュージカルが好きなんですか?
この作品というよりは、例えば「グレイテスト・ショーマン」(2018年)だとストーリーが好きです。楽曲のテイストもいいなって。「ラ・ラ・ランド」(2017年)で言うと、カメラワークやカラフルな衣装、ダンスがお気に入り。作品ごとに好きだと思うポイントが違います。
――静香役はオーディションなんですよね。
はい、カラオケボックスでオーディションしたんです(笑)。
――カラオケボックスで!?
踊れるスペースもあるパーティー向けのところでした。結構本格的だなって思いながら、指定された楽曲を歌ったり、事前に(課題の)動画を頂いて覚えたダンスを踊ったり。あとは、その場で渡された台本を読みました。
――歌は劇中で歌っていた曲ですか?
違う曲です。これは偶然なんですけど、今回共演したchayちゃんの楽曲もありました。
――見事ヒロインの座を射止めたわけですけど、オーディション直後の手応えは?
全然なかったです。矢口監督ってホントに不思議な雰囲気をまとっている方なので、特にリアクションもしないし、すごくいいねって感じも出さない(笑)。
楽しそうにノッてくださるし、しっかりと見てくださるんですけど「今のは良かったのかな、ダメだったのかな」っていうのが全然見えないんですよ。「本当に大丈夫だったのかな?」っていう感じがずっとありました。
――喜びより不安が大きかったんですね。
もちろんうれしい気持ちはありましたけど、私は結構プレッシャー負けするタイプですし、映画の主演をやらせていただくのはすごく久しぶりだったので、早く練習しなければっていう思いが強かったです。
――お芝居だけではなく、歌やダンスのシーンも多かったですしね。
ダンスも練習しなきゃいけないし、踊ったりするシーンでは催眠術にかかっているっていう芝居の切り替え方だったり、複雑な設定がたくさんあったので早く踊りや歌の練習をしないとっていう焦りの気持ちの方が大きかったですね。
――映画を見て、音楽っていろんな所にあふれているんだなって思いました。
そうなんですよ。電車に乗っていても音楽は流れているし、街に出てもいろんな所から聴こえてくる。ご飯を食べるお店も無音ということはあまりないのでどこに行っても耳に入ってきてしまうんです(笑)。
――静香を演じる際に心掛けた点は?
やっぱり音楽を聞くと歌ってしまう、踊ってしまうというのが“100”だとすると、普段の静香との振り幅が合った方が面白いなと思ったんです。静香ってすごく恥ずかしがり屋で、あまり目立ちたくない性格。
でも、イケてる生活もしたいし…っていう今っぽい女の子なので、そこの対比をどうやって表現したらいいのか常に考えていました。
――静香といえば、三浦貴大さん演じるエリート社員・村上との関係も気になります。
静香は、みんなが憧れているエリート社員・村上とちょっと一緒に食事に行ったりして、いい雰囲気に見せかけて…という感じなので、そこは特に意識せず普通に村上に憧れているのだと思いながら演じていました。
――エリート社員の村上は鼻にしわを寄せて笑うのがチャームポイントという感じで、劇中の女性陣は、みんなキュンキュンしていましたね(笑)。
そうですね、静香含めてキュンキュンしてましたね。私が試写を見に行った日は、三浦さんが鼻にしわを寄せて笑うシーンでものすごく受けていました(笑)。何かネタになっているというか。
でも、あれは矢口監督の強い要望があって、現場でも「もっと、こうキュって! キュって! 僕のマネしてみて!」って言いながら実践するんですよ。それが、もう完璧なんです。監督がやると本当に爽やかで、こんな上司がいたらキュンとしちゃうかもって感じなんですけど…。
あ、これは三浦さんを否定しているわけではないですよ(笑)。三浦さんも「監督がやると自然なんだけど、俺がやるとネタになっちゃうんだよなぁ」って仰っていました。
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