三吉彩花、ヒロイン抜擢も「『本当に大丈夫だったのかな?』っていう感じがずっとありました」

2019/05/27 08:00 配信

映画 インタビュー

音楽を聞くと歌い踊らずにはいられないカラダになってしまったミュージカルが苦手なヒロイン・鈴木静香を演じる撮影=野口彈


ちょっとした気遣いができる方はスマート


――ちなみに、三吉さん自身がキュンとなる男性のしぐさは?

基本的に何かスマートで優しい方がいいなって思います。ドアを開けて待っていてくれたり、外では車道の方を自然と歩いてくれたり。

「荷物、持とうか?」って自然に言ってくれるような、ちょっとした気遣いができる方はスマートだなって思います。

――いかにもやっているっていう感じだとさめちゃいますよね。

そうなんですよね。普段ちゃんとやっているかどうか、意外とバレますから(笑)。

――気を付けたいと思います(笑)。劇中で披露しているダンスについてもお伺いしたいのですが、撮影と並行して練習されていたんですよね?

まず、振付の前に基礎練習みたいなところをダンサーの皆さんとやらせていただいて。それと並行してボイトレもやっていました。練習を始めたのはクランクインの2カ月ぐらい前。毎日、毎日、振付がどんどん進んで行ったので頑張って追い付かなきゃって思いながら体を動かしていました。

――ポールダンスやシャンデリアに捕まって空中ブランコみたいな感じになっていたり、いろんなダンスに挑戦していましたけど、印象に残っているシーンは?

大勢で踊るオフィスのミュージカルシーンは、一緒に踊っていただいている方たちが皆さんプロだったので、あのシーンを初めて試写会で見た時「うわ~、決まった!」って純粋にうれしかったです。

あのシーンだけじゃないんですけど、スタジオで練習している時と撮影現場では、机の幅だったりいろいろなセットとの距離感も違ってきますし、ちょっとずつ振付も変わったりするので。臨機応変に対応することが結構難しかったです。

静香がマンションから出て行く時のミュージカルシーンも、こんなふうに撮っていただいたんだっていう驚きがありました。

――あの、マンションから出て行くシーンは、どんなふうに撮影したんですか?

廊下、エスカレーター、電気が点く場面、マンションから出るところなど、ブロックごとに分けて撮影しました。

私自身は、シーンごとに前後を長めに踊っただけなので、それを編集する作業の方が難しかったと思います。ただ、テストと本番など何回も踊っていたから、かなり体力を消耗しました(笑)。

――ダンスだけではなく、劇中ではいろんな歌を歌っています。

かわいいなって思う曲がたくさんありました。

――「矢口組」の現場はどんな感じでしたか?

矢口監督って全然怒らないんですよ。だから、必然的に他のスタッフさんも怒らない。罵声が飛び交うこともなく、本当に平和に穏やかに撮影していたんですけど、監督はしぐさや表情の一つ一つにすごくこだわっている方なので、何テークも重ねるんです。

興信所の調査員役のムロツヨシさんにつられて歌ってしまった静香が「歌っちゃった」って言うシーンがあるんですけど、その時の表情は20回近く撮り直しました(笑)。

監督は「もうちょっと!」「うん、ちょっと違う」「僕がやる表情を見てみて」ってお手本を見せてくださったりして。それを参考にあらためてお芝居するんですけど「まだ、ちょっと違う」「僕も何が違うか分からないけど、ちょっと違う」って(笑)。

もう何が正解なのか分からなくなってくるんですけど、いい表情が撮れるまでとことんこだわるところがすごいなと。自分なりに監督の思いに応えたいなと思わせてくれる演出は印象に残っていますし、勉強になりました。

――今作では、ミュージカル界のレジェンドである宝田明さんと共演!

宝田さんはとても気さくにあいさつしてくださって。いつも「おはよう! 今日も大丈夫? 元気?」って気遣っていただいたので、みんなのお父さんのような存在でした。

撮影の合間にたわいない世間話をしたりして、とても楽しかったです。

――やしろ優さん演じる千絵と静香の友情物語も見どころの一つですね。

千絵役を決めるオーディションに私も参加していたんですけど、やしろさんは千絵役にすごくしっくりきたんです。千絵ちゃんがやしろさんだったらいいなって思っていたので、現場に入ってからの不安は全くなかったですね。

千絵ちゃんと静香の掛け合いとかも、やしろさんだったら大丈夫だなって。クランクアップはちょうどクライマックスのシーンだったんですけど、やしろさんは途中から本当に泣いちゃって。

私ももらい泣きしちゃったんですよ。やしろさんは、すごく純粋な方なので、千絵ちゃんを役として演じているというよりも、一瞬一瞬を全力でやってくださっていた感じ。とても仲良くなって、今でもご飯を食べに行ったりしています。

――劇中では催眠術をかけられたことによってカラダが勝手に踊っちゃうという設定でしたけど、三吉さん自身は普段これをやらないと1日が終わった気がしないというようなルーティンはありますか?

家の外にいる時、例えば電車に乗って移動している時間や道を歩いている時は、絶対に音楽を聴いていないとダメなんです。

――静香を演じたことによって、勝手にカラダが踊ったりしていませんか?

今は大丈夫です! でも、ちょっと怪しい時はありました(笑)。電車とかで、ついノッちゃいそうになるんです。足をトントンってやったりして。

でも、移動中は音楽を聴いていないとダメなので、イヤホンを忘れたりするとめちゃくちゃテンションが下がります。

――もし時間に余裕があったら取りに帰る?

たぶん、家に戻ると思います(笑)。

――普段、どんな音楽を聴いているんですか?

ジャンルはバラバラです。ちなみに、今日(取材日)はしっとりとしたミュージカル音楽を聴いてきました。

――さて「平成」も終わり「令和」の時代に突入しました。今後の目標は?

今年は「ダンスウィズミー」をはじめ、撮影中の作品やこれから公開されるものなど、女優としての仕事が多いんです。ここからノンストップで頑張って、どんどん世の中に露出していきたいです。

映画が多くなってくるので、海外の映画祭にも行ってみたい。いつか舞台にも挑戦したいので、お休みは要りません(笑)。