ハリウッドスター不在時代に存在感を失わないベテラン俳優3選(2)<ザテレビジョン シネマ部>

2019/05/28 19:15 配信

映画

彼の出る作品に間違いなし! 出演こそが品質保証のイーサン・ホーク


『ガタカ』(c) 1997 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.


さて、最後になったが、イーサン・ホークを“ハリウッド・スター”と言うと、最近は少々違和感があるという人もいるかもしれない。今回放送されるSF映画の名作『ガタカ』('97)、青春映画『リアリティ・バイツ』('94)や後に2本の続編が作られた『恋人までの距離(ディスタンス)』('95)に主演していた90年代は間違いなく将来有望な若手スターだったのだが、近年の主演作はB級感のあるSFやアクションが多い印象。『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』('17)はリュック・ベッソン監督による超大作だが、ホークの役どころは出番の短い宇宙のポン引き役で、ぶっちゃけカメオ出演に近い。

ただし、ホークを決して侮るなかれ! ホークは明らかに、ひと筋縄ではいかない作品を選んでいるのである。たとえB級扱いされようとも、ホークの名前があるだけで、どこかにエッジィな魅力があると保証されたようなものなのだ。

『リミット・オブ・アサシン』(c) 24 HTL CO., LIMITED 2017


今回初放送される『リミット・オブ・アサシン』('17)も、そんな秀作の一本。ホーク扮するのは、悪の組織のために働く殺し屋。しかし途中で命を落とし、なぜか24時間限定で甦るのだ。その理由は作品を観ていただくとして、人生に与えられた最後の24時間をどう使うか? 中年になってからのホークが全身にまとっている哀愁とストーリーの相性もぴったりで、だまされたと思って観てほしい掘り出し物である。

文=村山章


 


1971年生まれ。雑誌、ウェブ、劇場パンフレット等に映画評やインタビュー記事を執筆。配信系作品のレビューサイト「ShortCuts」代表。